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2018年10月27日

東京都が懇話会、女性の力を運輸業界に

人材不足の解消に向け、運輸業界に女性を呼び込む取り組みが相次いでいる。

昨年の東京都の統計では運輸業、郵便業の女性就業者は21%と、建設業界に次いで少ない。それも客室乗務員などの航空運輸業界や倉庫業などが主となっている。各企業では女性の就業を促すためイベントや情報発信をしており、鉄道業界などでは女性の就業者が増加傾向にある。運輸業界は変われるのか。

東京都は9月中旬、「平成30年度第2回女性が輝くTOKYO懇話会~運輸業編~」を開催した。運輸業界で働く女性4人が参加した。

◆活躍のために何が必要か
小池百合子知事が「女性が少ない中、この分野を志望した理由や直面している課題などをざっくばらんに話して」と語りかけ、会がスタート。小田急電鉄の益田理美さんは「交通や生活サービスなどで沿線住民の生活を豊かにできる点に魅力を感じた」と志望動機を語った。益田さんは、小田急に入社後、駅係員や車掌、運転士、ダイヤ改正担当などを経験。乗務員時代は不規則な勤務体系で、日によって宿泊地も異なったが、運転士のやりがいを「子どもたちの憧れの存在」「ステップアップも可能」と話す。小田急では2003年から女性乗務員の登用を開始した。現在の人数は全体の5・1%に当たる57人で、年齢は18~40歳。現在11人が時短や育児休暇を取得している。妊娠した場合の健康管理などの措置によっては運転作業から外れる仕組みになっている。
また、JALエンジニアリングの甲斐瑠美さん、東京港運送の齋藤里奈さん、京浜急行バスの山﨑美香さんらとともに女性の活躍に必要なことをディスカッションした。彼女らは顧客から「運転が丁寧。アナウンスも良い」とほめてもらえることなどにやりがいを持ち仕事に打ち込めている。しかし、職場は不規則勤務で、ダイヤ乱れ対応、キャリアプラン、業務外活動と、家庭のライフプランや家族の健康との両立が必要だ。そこで「職場と家庭、双方の理解や家庭の協力が重要」だとしている。
さらに「入社時はサイズが合うつなぎや軍手もなかった。ただ、女性が少ない中でやり遂げようという意思があり、施設や設備を気にする余裕はなかった」「納品先ごとに施設の差が大きい。ハラスメントもあった」などと指摘。だが、「このままでは後輩が我慢を強いられる」などと、改善に努めた。

◆車両にも改善余地あり
また、会の最後には「3人の子どもを育てている。もっと子育ての時間を大事にしたい。都はどう支援するか」と小池知事への質問も挙がった。小池知事は「ここ2年間、保育士の給料のサポートなどに力を入れている。待機児童は3千人以上減ったが、依然5400人以上おり、対策を加速させる」と回答した。
国土交通省と全日本トラック協会は10月5日、「女性ドライバー等が運転しやすいトラックのあり方検討会」を開催し、女性ドライバーなどに実施したアンケート結果を公表した。これらを踏まえ11月に最終取りまとめを行う。
アンケートの結果、女性ドライバーと60歳以上の男性ドライバーの使用車両は、積載量6・5~10トンが2~4割で最も多く、車齢10年以内が半数近かった。しかし、ミッションは約6割がマニュアルで、マニュアル利用者の5割が「オートマチックを使ってみたい」と答えた。また、荷役の4割超が手積み・手降ろしと分かった。197人が回答した自由記述では雇用を増やすため車両・荷役装置を導入・改善すべきとの意見が102件あり、圧倒的だった。
車両の使いやすさで改善を求める声が多かったのは「小物入れの充実」「ミラー類の使いやすさ」など。また、「左側方が見にくい・死角ができる」「キャビンが高い」「リクライニング機能を改善してほしい」「クラッチなどに足が届かない」と具体的な意見も挙がった。
このほか、運転支援装置や先進技術のニーズが高く、特に「バックアイカメラがあると良い」とする声は8割に上った。日常点検では「キャブチルトが重い」との意見も多数だった。

日刊自動車新聞10月22日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

東京都

対象者 一般,自動車業界