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2018年10月20日

京都で事故ゼロ・フォーラム、官民のパートナーシップによる活動促進を提言

交通事故ゼロ社会の実現を目指す事故ゼロ・フォーラム(寺園和文理事長)が9月28日、国立京都国際会館(京都市左京区)で2回目のイベントを開催した。基調講演や事例紹介、意見交換などを通じ、出席者が交通事故をなくす活動に対する理解を深めた。同フォーラムのイベントは4月の東京に続いて2回目。「京都ダイアローグ」と題して実施した。

基調講演では、IT調査・コンサルティング会社のアイ・ティ・アール(東京都新宿区)でチーフアナリストを務めるマーク・アインシュタイン氏が「世界動向~技術と事故ゼロ事例、私達が目指す未来~」をテーマに、IoT(モノのインターネット)とAI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)、ロボティクス、ブロックチェーンなど主要技術の最新動向について説明した。
アインシュタイン氏は事故ゼロ社会の実現について「自律型運転は一つのキーで、さまざまな分野の技術の活用で可能になる」と指摘し、「官民のパートナーシップによる活動の促進が、技術発展の上で重要だ」と提言した。

事例紹介では、京都府亀岡市総務部自治防災課の牧野光隆副課長が「かめおか『セーフティドライブ』プロジェクト」の概要を説明した。運転者を募り、後続車の速度抑制や交通安全意識の高揚を目指す市民参加型の活動で、車両の後部にシンボルマークを付けて安全走行に努める。
同市では2012年に登校中の児童らが死傷する交通事故が発生した。安全対策を講じた結果、事故現場の道路の通過車両数は減少している。牧野氏は「事故が起こった4月23日を『KAMEOKA交通事故0を目指す日』と定めている。今後も交通事故のない安全で安心なまちづくりに向け、さまざまな交通安全対策を行いたい」との考えを示した。
宮田運輸(大阪府高槻市)の宮田博文社長は「良心が響きあう社会を目指して」と題して講演した。
宮田氏は、子どもの絵やメッセージを荷台にラッピングした「こどもミュージアムトラック」の普及を通じて、危険運転や交通事故をなくす「こどもミュージアムプロジェクト」を4年前に立ち上げた。現在は72社が参画し、全国で255台のラッピングトラックが走行している。
活動の輪はデイサービスの送迎車や自動販売機などトラック以外にも広がっている。宮田氏は「街中に子どもの絵やメッセージがあふれれば、交通事故のない、優しい世の中になるという思いを世界に発信したい」と力を込めた。
引き続き、「事故をなくすためにできること」をテーマに講演者と出席者が議論した。自動車関連企業や大学などの関係者が、それぞれの立場から事故ゼロの実現に向けた考えや意見を述べた。
ウェブ上で資金提供を呼びかけるクラウドファンディングの第1弾を10月末から開始し、こどもミュージアムトラック用のラッピング資金を募ることも発表した。
スーパーカーのシェアリングサービスを手がける東京スーパーカーズ(東京都渋谷区)の榎田豪ゼネラルマネージャーが事業概要などを紹介した。
同フォーラムは産官学の知見が集まるビジネスエコシステムの場という位置付けで、オープンイノベーションにより交通事故をなくすことを目指している。次回は19年4月に東京で開催する予定だ。

日刊自動車新聞10月17日掲載

開催日 2018年9月28日
カテゴリー 交通安全,展示会・講演会,社会貢献
主催者

事故ゼロ・フォーラム

開催地 国立京都国際会館(京都市左京区)
対象者 一般,自動車業界