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2018年10月5日

警視庁、短時間駐車の規制緩和、来夏から宅配業者の負担軽減へ

警視庁は来夏から駐車規制を見直す。2020年度末にかけて駐車可能な場所を増やす。集配するドライバーが周辺の駐車場を探し、配送場所まで移動する時間を短縮させることで、宅配事業者の負担軽減を図る。宅配業界の団体や企業では、生産性の向上やドライバーの負担軽減につながると期待を寄せる。

自動車運送事業の長時間労働是正には、貨物集配車の短時間駐車に対応する環境整備が必要だ。昨年8月の「第2回自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」で、「トラック・バス・タクシーの働き方改革」の直ちに取り組む施策として「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し」が盛り込まれた。これを踏まえて警察庁は今年2月、「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」を通達。一定の範囲で貨物集配中の駐車を可能とする駐車規制の見直しを示した。警視庁でも駐車規制を見直す。

具体的には駐車禁止区間で青地に白文字の「P」マークを描いた「駐車可」標識の下に、対象車両を貨物集配中の貨物車に限り「貨物車専用」と表示した駐車枠を設置し枠内への駐車を可能にする。

対象エリアは貨物集配中の車両の駐車需要、道路構造、道路環境などを確認し、道路管理者と連携して駐車スペースを整備し、貨物車の駐車に対する地域住民などの合意を得た場所から実施する。都内では原則午前9時~午後9時で行う予定。現在は連続して駐車できる時間に関する規制がないので、警視庁は東京都トラック協会に業界ルールとして駐車時間を20分以内とするよう依頼している。

従来は、駐車禁止区域で貨物車両を一定時間除外するという方法だったが、横断歩道上や交差点内などの禁止場所に駐車する車両や、荷さばき以外での駐車車両が散見された。1~6月の都内での駐車違反の取り締まり件数は、約17万7千件。このうち、貨物車の取り締まり件数は昨年よりも約4千件減少したが、約4万9千件となっている。

宅配便に携わる企業や関連団体は見直しを歓迎する。大手宅配業者や全日本トラック協会、東京都トラック協会などからは「ドライバーの気持ちに余裕が生まれる」「二人配達コースを減らせる」「これまでも法令順守、安全第一で駐車場所を選定してきた」との声が聞かれる。ある事業者は駐車禁止対策として「コインパーキングの利用、自転車や台車での配達を行っている。コインパーキングを利用すると駐車場から配達先が遠くなる場合がある。自転車や台車による配達は積載量が限られる」とし、「(規制見直しで)駐車できる場所が増え、生産性向上やドライバーの負担軽減が期待できる」「地域特性に合わせて安全に駐車できる場所が増え、サービス向上につながりそう」といった意見を挙げた。また、「全国的に緩和してほしい」「配達担当地域が広く、緩和されていない地域は今まで通りの配達対応が必要」との声もあった。一方で「上限20分でビル上階へ配達を完了できるか」「駐車場の取り合いになるのでは」との意見や「配達車両を登録制にして許可証を発行し、掲示車両を緩和対象にしては」などの提案もあった。

警視庁は駐車規制見直しに付随して「自宅前に貨物車が頻繁に駐車することを嫌がる住民もいる。住民らに駐車規制緩和の受益者になると説明して合意を得ること」が必要と説明。「交通の安全と円滑に与える影響や道路構造、道路環境に注意して緩和場所を選定する」などとしている。

日刊自動車新聞10月1日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

警視庁

対象者 自動車業界