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自動車産業インフォメーション

2018年10月5日

OBD車検、エーミング未実施は不合格 スキャンツール機能拡充が不可避

2024年に始まる車載式故障診断装置(OBD)車検で、先進安全技術のエーミング(機能調整)作業を省略した車両は車検に通らないことが明らかになった。国土交通省は、エーミング作業の未実施を示すDTC(故障コード)は「装置が適切に機能しない状態にあることを示している」とし、合否判定に用いる「特定DTC」に該当すると判断。エーミング未実施車を車検に通さないことにした。汎用外部故障診断機(スキャンツール)の機能拡充が不可避になりそうだ。

エーミング作業は、緊急自動ブレーキや踏み間違い防止装置など先進安全技術に使われるミリ波レーダーやカメラといった検知デバイスを初期化する工程を指す。部品交換や整備後のほか、バンパー脱着後など、分解・車体整備を問わず必要な作業となっている。今のところ、作業を行うにはスキャンツールとターゲット、一定の作業スペースが不可欠だ。ただ、設備対応と技術修得の観点から作業を外注し、様子見を決め込んでいる事業者も少なくない。
エーミング未実施車が車検に通らないことになれば、車検業務を行う一般整備工場はもちろん、事故修理を担う車体整備工場も作業責任が問われる可能性が高くなる。国際基準の導入に合わせてOBD車検の対象になる緊急自動ブレーキ装着率が、新車の約9割に達している現状を踏まえると、21年以降の新型車については、間違いなく修理後や部品交換後のエーミング作業が必要になる。
国交省は、ディーラーが使用する専用スキャンツールのようにエーミング作業が行えるよう、汎用スキャンツールの機能を拡充する取り組みを進めている。OBD車検に用いる「法定スキャンツール」のフレームワーク作りも進む。汎用、法定のスキャンツールの足並みがそろわないと「法定スキャンツールでエーミング未実施車を検出し、車検を不合格にしたのに、汎用スキャンツールがエーミング作業に対応していない」という事態にもなりかねない。スキャンツール各社は24年に向けて対応を迫られそうだ。

日刊自動車新聞10月1日掲載

開催日 2018年10月1日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界