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2018年10月2日

奮闘する大学自動車部、ラリー競技を主催・運営 採用面を考慮し業界も支援

近畿地区で大学の自動車部の活動が活発化している。ラリー競技の主催でモータースポーツの盛り上げに貢献するなど、精力的に取り組む大学も目立つ。一方で、活動場所の制限などから自動車部が廃部に追い込まれたケースもある。採用活動などで重要な接点となる場合も多いだけに、自動車業界では危機感を強めている。

15、16日に兵庫県豊岡市で行われた「第39回神大ラリー」は、神戸大学の自動車部が主催するラリー競技だ。同部は日本自動車連盟(JAF)の加盟クラブでもあり、同大会はJAF公式競技の「JAF中部・近畿ラリー選手権」に組み込まれている。厳格な車検制度などが設けられているが、審査員の監修の下で学生が主体となって審査している。

運営スタッフをはじめ大会委員長や事務局長、競技長といった幹部職を担うのも、すべて現役の自動車部員たちだ。コースの設定やセーフティープランの作成など競技自体にかかわる職務から、大会エントリーの受付や書類作成といった事務作業まで、学生たちが自ら運営している。

事務局長の森川滉平さんは「学生だけでの主催は大変」と前置きしながらも、「積み重ねてきたノウハウを活用し、参加者と主催者がともに楽しめる大会づくりに努めている」と強調する。

ラリー競技の実施では地域の協力が重要だ。自治体や警察、消防の賛同はもちろん、住民からの理解を得られるかが開催の鍵を握る。地元との折衝はOBも率先して協力しており、OBの岩出知之さんは「活動を通じて車好きの若者が増えれば」との考えを持つ。
競技の出場者も思いは同じだ。三重県から参加した男性は「至らない点もないわけではないが、参加することで車好きの若い人たちを応援したい」と口を揃える。カスタマイズショップなどの集まりから複数台で参加するチームもあり、今年は21台が出走した。
大学の自動車部を支援する活動は自動車業界でも活発化している。4月に行われた関西14大学の自動車部による新入生勧誘活動では、大阪トヨペット(横山昭一郎社長)をはじめ自動車関連企業がブースを出展した。ヤナセ関西営業本部(佐藤暢一本部長)は茨木支店(大阪府茨木市)が立命館大学の自動車部と情報交換会を開くなど、支援の輪が広がっている。

一方で大阪市立大学では部員不足などを理由に自動車部が3月で廃部となった。特に都心の大学では、キャンパス構内への乗り入れ禁止などで活動場所の確保が難しく、新入生の勧誘もままならないのが実情だ。

若者の車離れが加速する中で、自動車部は数少ない車好きの学生が集う場でもある。人材の採用にもつながるため、業界としても活動支援を考えていく必要がありそうだ。

日刊自動車新聞9月28日掲載

開催日 2018年9月15日
開催終了日 2018年9月16日
カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

日本自動車連盟(JAF)、神戸大学自動車部

開催地 兵庫県豊岡市
対象者 大学・専門学校,自動車業界