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2018年10月2日

損保各社、準備急ぐ 自動運転普及前夜

大手損害保険各社が自動運転の普及をにらんだ準備を急いでいる。あいおいニッセイ同和損害保険と東京海上日動火災保険は大学や地方自治体と協力した実証実験を始めたほか、損害保険ジャパン日本興亜は27日、レベル4の自動運転の事故トラブル対応のコネクテッドサポートセンターを開設した。こうした動きの背景には、現行の保険制度でカバーできないケースが出てくることへの危機感と、自動運転により生まれる新たな需要や商品を探る狙いがある。

政府の「官民ITS構想・ロードマップ2018」によると、2025年頃にはレベル4の自動運転技術が普及する。本格的な自動運転社会が到来すれば、事故の9割を占めるヒューマンエラーは激減し、損保各社の収益源である保険料も減少が見込まれる。こうした中で事故責任割合の特定や、自動運転車に搭載するセンサーやカメラなどの修理費増などにも対応することになる。

各社はすでに動き出している。あいおいニッセイ同和は、群馬大学と自動運転の研究開発を17年から展開。損害調査手法の構築に取り組んでおり、20年度には自動運転専用保険の発売も予定する。東京海上は16年から名古屋大学と金沢大学が手がける公道実証に参画。過疎地だけでなく、都心における自動運転のリスクや走行データを集め、ノウハウを蓄積しつつある。三井住友海上火災保険も昨年、専門チームを立ち上げ、自動運転保険の研究を始めた。

SOMPOホールディングスは、今年6月に「SOMPOディースタジオ」を立ち上げた。ベンチャーの知見を取り込み、新たな事業やサービスの可能性を探る。損保ジャパン日本興亜が新設した拠点では、レベル4の自動運転車の事故を想定した実証実験を重ね、成果をベースに20年までの実用化を見込む。

大手4社は、特定の状況下で発生した自動運転車の事故の被害者救済を目的とした特約をすでに設けており、次の段階として、自動運転を前提とした保険商品の開発に取り組んでいる。さまざまな可能性を吟味するだけでなく、等級制度の見直しも視野に入る。

日刊自動車新聞9月28日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社調査

対象者 自動車業界