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2018年9月30日

自工会、CFRP適正処理研究を開始 炭素繊維の燃焼メカニズム把握

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は、燃料電池車(FCV)に搭載されるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の適正処理に向けた基礎研究を今年度下期から始める。

既存の燃焼処理設備で処理するための方向性を示すためのもので、難燃性を持つCF(炭素繊維)の燃焼メカニズムなどの把握を目指す。CFRPは軽量で高強度な素材特性を持つことから、今後の採用拡大が見込まれている。自工会は販売台数が僅少な現時点から将来の廃車発生に備えた対応を推進する必要があると判断。研究体制を立ち上げることにした。

自工会はこれまで、水素貯蔵タンクとして使用されたCFRPの処理方法として、再利用できないように切断や穴あけなどの処理(クズ化)をした後で、電炉などの再資源化施設で燃焼処理するサーマルリサイクルの実証を行ってきた。一定のエネルギー効果はあったものの、一方で燃え残った未燃CFが存在する課題も確認されている。

また、CFRPの処理フローとしてマテリアルリサイクルの可能性もあるが「技術はある程度できているが経済性との両立が課題」となっている。自工会は経済合理性を勘案して、まずはサーマルリサイクルの確立が急務だと認識している。
こうした状況を背景に、CFの基礎燃焼特性を把握するための研究に着手することにした。下期から取り組む推進項目は(1)課題整理と燃焼規準の設定(2)CF基礎燃焼特性の把握(3)CFRP混入ASR燃焼特性の把握―の3つ。年度内をめどに研究を進めた後、来年度の第2四半期からCFRPの燃焼実証試験を開始する計画だ。

CFRPは水素燃料タンクとしてだけでなく、ボディー・部品素材として採用する動きも広まっている。CFRPの採用拡大に伴う使用後の適正処理を視野に入れ、今後のスキームづくりにつなげていく。

日刊自動車新聞9月27日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本自動車工業会

対象者 自動車業界