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2018年9月28日

自動車業界団体、ユーザー目線で負担軽減 正念場の19年度税制改正

年末の2019年度税制改正大綱取りまとめの議論が今後本格化する中、日本自動車工業会(自工会)など自動車業界団体は、自動車関係諸税の抜本的見直しとユーザーの税負担軽減の実現に向けて、例年以上に政府や与党への要望活動を強めていく方針だ。これまで幾度と繰り返されてきた自動車税制の議論だが、近年の施策はユーザーの負担増となるものばかり。地方にとって自動車は複数台保有の生活インフラで、過重な税負担が地方の活力をそぐ深刻な問題となり得る。「自動車関係諸税VS地方財源」の構図など従来の議論からの脱却と代替財源をユーザーに求めないことを強く要望していく。

「今年はどの自動車業界団体もユーザー目線に立った情報発信をしていこうと心一つにしている」。自工会の豊田章男会長は20日に都内で開いた記者会見でこう述べ、政府・与党への働きかけを強めていく姿勢を表明した。日本の自動車ユーザーが世界一高い税金を負担している事実を踏まえて、「(過度な税負担に)困っているユーザーの声を(税制改正への)大きなうねりにしていきたい」考えだ。

中国地方のあるダイハツ系販売会社トップは、地方でのローカル線廃線など公共交通機関の減少加速を指摘。「地方は車がないと生活できない。年金生活の高齢ユーザーにとって軽自動車税の負担は重くて困っていると販売現場でよく聞かれるようになった」と話す。東北地方のあるトヨタ系販社トップは、「駐車場の確保難や負担が重いのは東京などの問題だけではない。地方都市でも中心部では月極めの駐車場代が年々値上がりしている」と保有にかかる負担が増えている現状を指摘する。こうした地方の状況の中で、「これまで軽自動車増税などユーザーの負担増になることばかりが行われてきた」(ダイハツ系販社トップ)。

ただ、自動車税の大半は地方税で、減税をすれば自治体は重要な財源が減ることになる。「代替財源を見つけられなければ、減税措置は認められない」といった財務省や総務省の主張は今でも根強い。
そうした対立軸の構図に対し、豊田会長は「従来の延長線上での自動車税制議論では(日本の自動車産業の)競争力や雇用の維持は難しくなる」と危機感を募らせる。来年10月に控える消費増税や過熱する通商問題に加えて、技術革新や新たな競争相手、競争ルールが自動車メーカー各社に変革を迫っているためだ。

日本自動車会議所の内山田竹志会長は、「今年度最大のミッションは自動車関係諸税の抜本改正であり、(今年は)勝負の年。新車販売は国内自動車産業のベースとなるもので産業基盤をより強固なものとするチャンスの年でもある」と述べる。自動車総連の髙倉明会長も「地方自治体には、自動車が売れれば税収がもっと増えるんだという発想に立ってほしいとお願いしていく」と話す。12月までの議論は減税規模や手法を巡り、例年以上に激しい綱引きとなりそうだが、自動車産業の競争力と雇用を維持し、地方の活力を取り戻すうえでも重要な節目となる。

日刊自動車新聞9月25日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社調査

対象者 自動車業界