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2018年8月9日

内閣府、第2期「自動運転」研究プログラム説明

内閣府は3日、都内で「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第2期研究開発課題に選定した「自動運転(システムとサービスの拡張)」について説明会を開いた。同テーマのプログラムディレクター(PD)を務めるトヨタ自動車の葛巻清吾常務理事が登壇し、「自動運転の実用化と普及拡大を目指し環境整備や安全確保に向けた“協調領域”の研究開発を推進する。2023年までに協調領域の技術にめどをつける」という計画を打ち出した。このため、来秋から東京臨海地区で実証実験を開始するなど、自動運転の有効性と事業性を検証しながら目標達成につなげていく。

SIPの第2期プログラムでは、自動運転による走行を可能にする環境の整備や、運行中の安全確保に欠かせない基盤技術に重点を置き、研究開発を進めていく。車両単独の自律制御では、安全確保などの負荷が大きくなるため、インフラや通信などを活用して車両にさまざまな情報を送って運行を支援する仕組みを作り、自動運転の実用化時期を早めることが狙いにある。
その実現に向けて、産官学の連携を深めるとともに、医学、法学、都市工学など自動車産業の枠を超えた連携を一段と強化。自動運転に適した環境づくりと、普及に向けた社会的なコンセンサスの醸成を積極的に進めていく。こうして培った技術を、車両とインフラを組み合わせたトータルな交通システムとしてグローバルに発信し、自動運転分野のイニシアティブを確立していく考えだ。

葛巻PDは「車両自体の自動走行技術に取り組んだSIP第1期の継続・延長となる研究開発ではない」と述べ、企業が自社の自動運転技術を競う“競争領域”の研究開発とは一線を画す取り組みであることを強調した。
走行環境の整備に向けて、東京臨海地区では逆光など車載カメラでは認識が難しい状況で信号機の情報を伝える技術、高速道路で本線への安全な合流を支援する技術、従来車が走行する一般路で自動運転バスの定時運行を可能にする交通管制システムなどを試す。さらに、高齢者の移動の足や物流手段の確保に取り組む過疎地、地方都市の自治体や企業と連携し、実証することにも取り組む。
合わせて、モデルベース開発(MBD)やシミュレーターなどを活用して、仮想空間で安全性を評価・実証可能な環境を整える。安全性や走行場所の確保といった実走行の試験で生じる負担を減らすこと、実走行では不可能な「同一の気象条件でのテストを繰り返す」ことなどを可能とし、定量的な安全性評価につなげていく考えだ。

自動運転技術に焦点を当てて14年に開始したSIPの第1期プログラム「自動走行システム」は今年度に完了する。しかし、その完了を待たずに第2期プログラムを立ち上げ、自動運転の実用化に向けた環境整備を急ぐ。第2期の18年度の予算は、30億円を確保した。
自動車メーカー各社が20年の「東京オリンピック・パラリンピック」で自動運転車のデモ走行を計画。その機会に第2期プログラムの最初の成果を世界へ発信し、研究開発の弾みをつける考えだ。

日刊自動車新聞8月6日毛採

開催日 2018年8月3日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

政府

対象者 一般,自動車業界