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自動車産業インフォメーション

2018年8月9日

「自動運転なのにぶつかった」/高齢者家族から「なぜ売った」 販社への相談・苦情が増加

■愛自販お客様相談担当者会議 接客・説明の要求水準高まる
愛知県の新車ディーラーに寄せられるユーザーからの相談や苦情に、先進安全装備や高齢者に関する内容が目立ち始めたことが分かった。愛知県自動車販売店協会(愛自販、小栗一朗会長)がこのほど開いた「第52回お客様担当者会議」によると、2017年度(17年4月~18年3月)に会員ディーラーが受け付けたユーザーからの相談・苦情において、ユーザーが安全運転サポート車(サポカー/サポカーS)を運転中に起こした交通事故の責任問題、高齢者のユーザーに車を販売したことに対するユーザーの家族からの非難などが増えてきた。

同担当者会議は毎年度2回、上期と年度の終了後に開催している。会員ディーラーが対応したお客様相談の内容の把握や、各社のお客様相談担当者同士による情報交換などを目的に実施し、各社がCS向上にも役立てている。今回の会議には登録乗用車、軽自動車、商用車、輸入車のディーラーの幹部が出席。17年度に受け付けた相談・苦情の件数や内容、最近の傾向などについて報告し、状況の変化や対応策などを共有した。

その報告内容によると、苦情件数自体は減少しているようだ。相談・苦情の内容で多いのは「商談・契約」「品質・性能」「サービス」に関するものとなっている。
このうち品質・性能に関しては、運転支援機能を誤解しているユーザーからの苦情が増え始めた。衝突防止・被害軽減ブレーキが搭載されたサポカー/サポカーSでの交通事故について「自動運転だから止まるはずなのにぶつかった。どうしてくれる」と、サポカー/サポカーSの車種が増える中で、事故の責任をメーカーやディーラーに求める内容が多くなってきたとしている。

また、複数のディーラーでユーザーが店舗を訪れた際の店舗側の対応についての苦情が増加傾向にある。最近の傾向にユーザーが入店後に飲み物が出されなかったことや、相手にされなかったことなどのショールーム対応に関する苦情があがっている。さらにサービスフロントやサービススタッフの接客対応や説明力に対する苦情も増えた。
加えて車両に不具合が生じた場合、修理対応では納得せずに車両交換や返車などの弁護士案件が増加したディーラーもあった。

これらの苦情の増加について愛自販では、ユーザーが求める接客や説明のレベルが高くなってきたことが主な要因としている。また、相談では、リコール対応で管理顧客以外からの問い合わせが増えているディーラーがある。
一方、高齢者に関する相談・苦情では、認知症の元ユーザーから車の所在を尋ねる電話が繰り返し入ってくるディーラーがある。元ユーザーは免許を返納し、所有車両は元ユーザーの家族が売却処分した。だが、元ユーザーは自宅に車がないのはディーラーに入庫しているからだと思い込み、度々問い合わせてくるという。

さらに、免許証を持つ高齢者に新車を販売した後、その高齢者の運転に不安を覚える家族から「なんで車を売ったのか」という苦情も出てきた。その家族は、購入した高齢者が交通事故を起こした場合の責任を販売側に求めようとしている。

愛自販では、高齢ドライバーが増加する中で、高齢者への車の販売に関する相談や苦情が今後も増えていくとみている。同時に、サポカー/サポカーSの普及による高齢ドライバーの交通事故減少に期待する愛知県警察のサポカーS体験会に協力するなど、会員ディーラーとともにサポカー/サポカーSの正しい知識を市場に浸透させる取り組みを重視した。

日刊自動車新聞8月2日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

愛知県自動車販売店協会(愛自販)

対象者 自動車業界