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2018年8月9日

国交省の若手職員、大胆な政策提言 自動運転普及など2030年の社会を構想

■通行量増加を課税で制御
国土交通行政のあり方を議論してきた国土交通省の中堅・若手職員で構成する「政策ベンチャー2030」は30日、議論の最終とりまとめを行い、石井啓一国交相ら幹部に報告した。

2030年頃の“あるべき日本社会の姿”を構想し、具体的な政策提言をとりまとめた。一例として、完全自動運転車の普及により、都市内では通行車両の急増(交通ビッグバン)が発生する恐れがあるとして、通行に課税するなど需要をコントロールする施策も必要だとした。こうした大胆な提言を受けた石井国交相は「ユニークで意義深い内容だと思う」と評価。また、31日付で事務次官に就任する森昌文技監は「今後、こうした施策をどのように具体化するかも考えてほしい」などと感想を述べた。

政策ベンチャー2030は、2017年10月に石井国交相の指示で発足した。立候補で選出した本省の課長補佐や専門官、調整官、係長ら34人(平均年齢34・7歳)と地方部局の職員103人で構成。これまでに学識者や企業団体のトップらからヒアリングするとともに、本省メンバーが全地方部局を訪問して意見を交換した。こうした経緯は、国交省のホームページのほか、フェイスブックなどでも公開してきた。今回の最終報告は3月末の課題を整理した中間報告に続くもので、国交省が今後、中・長期的に取り組むべき大胆な具体策としてまとめた。

タイトルを「日本を進化させる生存戦略」とし、(1)たまっていた「宿題」を片付ける(2)これからの未来を「先取り」する(3)「変わり続ける力」を身に付ける―の3部構成とした。その上で、21項目の具体的な施策を挙げた。

交通ビッグバンへの対応では「大都市における課税による交通需要制御と公共交通の機能強化」「都市遊休空間を活用した立体交通拠点(CTS)」「自動運転の世界に先駆けた普及と効果最大化のための空間整備」の3施策を挙げた。
完全自動運転車が普及価格帯で供給されるようになると、自動車の“動くリビングルーム化”と相まって、大都市部では道路交通需要が爆発的に増大すると危惧。それに備えて複数のシナリオで交通状況をシミュレーションする一方、自動運転専用空間の整備を進めるべきとした。さらに、需要をコントロールするため、ボトルネックとなる道路の通行に時間帯や乗車人数、目的などに応じて課税。その税収を容量の拡大が必要な道路などの整備費用に充てることなどを提言した。

ただ、「こうしたタブーなき提言」(石井国交相)は、すぐに実行されるものではなく、「今後、それぞれの立場で少しでも磨き上げられたら大きな成果になる」(同)というもの。「局の垣根を越えて議論したことで、成長を実感できれば、それが最も大きな成果」(同)としている。

日刊自動車新聞7月31日掲載

開催日 2018年7月30日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省、政策ベンチャー2030

開催地 国土交通省
対象者 自動車業界