2018年7月11日
〈西日本豪雨〉メーカーや業界団体 被害状況把握に時間
8日までに西日本を中心に降り続いた記録的な豪雨により、中四国や九州地域の自動車業界でも甚大な被害が出た。メーカーや業界団体は被害状況の把握を急いでいるが「全体の状況把握にはかなり時間がかかるとみている」(日本自動車整備振興会連合会)と話す。道路網が寸断され、状況を見守るしかないのが実情だ。一方、日本損害保険協会は災害救助法が適用された地域の契約者に対し、継続の手続きや保険料支払いを猶予する措置をとった。
広島県では日本自動車販売協会連合会、日整連及び商工組合、軽自動車協会の連名で会員に被災状況を問い合わせるファクスを送付した。とくに被害が大きかったのが呉市や東広島市、広島市安佐北区などで、事業場の冠水や展示車両の水没などが報告されている。岡山県でも倉敷市の真備地区が水没するなど甚大な被害が出ている。岡山県自動車整備振興会の倉敷4支部は倉敷市と「災害協定」を締結しており、緊急車両の整備に乗り出すことになる。同振興会の佐藤隆政専務理事は「堤防の決壊で広範囲が浸水している倉敷市真備町地区には10件強の会員工場がある。真備町地区に限らず被災状況の把握を急ぐ」と語った。愛媛県では肘川の氾濫により大洲市の整備工場で70事業者(うちディーラー9事業者)に被害が出た。
新車ディーラーでは、中国ふそうの本郷支店(広島県三原市)で付近を流れる河川が氾濫し、支店の1階部分が浸水した。従業員に被害はなかった。9日現在、支店の周辺は冠水などで近づけない状態にあり復旧のめどはついていない。ホンダでは、岐阜、京都、岡山、広島の広範囲で建物被害などが確認された。ホンダとホンダ自動車販売店協会によると、岡山県の一部店舗では建物への浸水被害や在庫車の冠水被害も出た。岐阜では来店客と従業員の安全確保のため臨時休業を決めた販社もあった。スバルでも一部店舗で床下浸水の被害などが確認されている。
ホンダユーテック(伊藤哲也社長、埼玉県和光市)は、9日に全国6会場で同時開催した中古車オートオークションで、豪雨の影響により関西会場(神戸市中央区)の出品台数が予定より150台減少した。トヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)は広島県内の陸送や引き取り時期が通常より2~3日ほど遅れており、TAA広島会場でワンプライス販売を一時停止した。中古車販売大手のネクステージは、一部店舗で雨漏りなどが発生したものの大きな被害は出ていないもよう。車検や来店予約がある顧客と日程を再調整している。BSサミット事業協同組合(磯部君男理事長)では岡山県で1件、愛知県で2件、高知県で1件、それぞれ組合員の被害を確認したが、詳細は不明。
オートバックスセブンによると「オートバックス広島北店」(広島市安佐北区)、同「大洲店」(愛媛県大洲市)で営業を停止中だ。オリックス自動車は福山東店(広島県福山市)が床下浸水、二日市駅前通り店(福岡県筑紫野市)が床上浸水した。レンタカー車両も何台か浸水したという。
損保業界も対応を本格化しつつある。損害保険ジャパン日本興亜は、松山・岡山・広島・福岡・長崎・兵庫・京都に災害対策本部を設置し、被害状況確認や保険金支払い対応を行っている。ドローンを使って被害調査する専門部隊も現地入りした。東京海上日動火災保険も本店に「災害対策本部」、地方に「災害対策室」を設けた。三井住友海上火災保険も被災各地に災害対策室を立ち上げた。あいおいニッセイ同和損害保険もドローンなどで被災状況の確認を急いでいる。
日刊自動車新聞7月10日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 日刊自動車新聞社調査 |
開催地 | 岡山県、広島県ほか |
対象者 | 自動車業界 |