2018年7月11日
〈西日本豪雨〉サプライヤーにも大きな影響
西日本各地を襲った記録的豪雨で部品サプライヤーも大きな影響を受けている。特に三菱自動車やマツダが生産拠点を構える中国地方は、部品メーカーが集積しており、一部のメーカーでは稼働中に死亡事故が発生した。交通網などインフラの復旧状況によってはサプライチェーン全体に影響が拡がる可能性もある。
三菱自が水島工場を構える岡山県には、同社向け部品を生産するサプライヤーで構成する工業団地「ウイングバレイ」がある。加盟企業で24時間操業のヒルタ工業(岡山県笠岡市)は7日午前4時、工場に土砂が流入し、作業員6人が生き埋めとなった。地元消防隊が救助活動にあたったが、2人の死亡を確認。残りの4人も重軽傷を負って病院に搬送された。
曙ブレーキ工業の生産子会社である曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)では、被災した50人の従業員が出社できていない影響で、補修部品の生産ラインを停止。新興工業(岡山県総社市)は避難指示が発令された6日、夜勤の従業員を早めに帰宅させて対応した。仕入先の状況把握を急いでいる。また、ボディー部品などを手がけるある加盟企業は「工場下から水が溢れ、プレス機1基が停止した。真備町から通勤している従業員は出勤できていない」と話す。
トヨタ系のジェイテクトは、ヒルタ工業からの部品供給がストップしたため代替調達先を検討している。このほか、トヨタ系サプライヤーでは、一部の企業で広島県内の仕入先に軽微な浸水被害があったものの、主要サプライヤー各社は通常操業を行った。
ウイングバレイ加盟企業以外でも、今仙電機工業の岡山工場(岡山県倉敷市)は断水が続いており、従業員も半分以上が出勤できていない。岡山県倉敷市などに拠点を構えるJFEスチールの西日本製鉄所は、「高炉を含めて生産ラインの一部が一旦停止した。現状は順次操業を再開しつつある」(同社)という。
このほか、6日午後11時半に岡山県総社市のアルミ工場でアルミニウムの溶解炉が爆発した影響から隣接地で自動車向け熱間鍛造部品を製造する川上鉄工所では外壁が吹き飛ぶ被害が発生。生産設備の多くが浸水しており、生産再開のめどは立っていない。
日刊自動車新聞7月10日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 日刊自動車新聞社調査 |
開催地 | ウィングバレイほか(岡山県総社市) |
対象者 | 自動車業界 |