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2018年6月18日

特許庁、標準必須特許交渉での紛争回避へ中小・零細向けに手引き

特許庁は、通信・デジタル分野で多用される「標準必須特許(SEP)」のライセンス交渉に関する手引きをまとめた。IoT(モノのインターネット)や自動運転、コネクテッド技術が普及するに連れ、交渉に不慣れな中小・零細(小規模)企業が特許紛争に巻き込まれるのを防ぐ狙いがある。手引きでは交渉の考え方や進め方、ライセンス料の算定などについて、具体例を挙げつつ紹介している。

 

標準必須特許は、製品やサービスの標準規格として幅広く利用されている特許のことで、情報通信分野などで多く使われている。これまでは互いの特許を使うクロスライセンス契約などを結び、事業開始後に改めてライセンス交渉を行う慣行があった。しかし、第四次産業革命が進む中、新たな製品やサービスに通信やデジタル技術が欠かせなくなり、自動車などの最終組立メーカーや中小・零細サプライヤーがライセンス交渉に関わってくる可能性が浮上しつつある。このため、手引きには無線通信の標準規格の実施に不可欠な標準必須特許のライセンスに関し、特許権者と使用者との間で問題となりそうな点や解決方法などを整理し、盛り込んだ。

手引きでは「最終組立メーカーがライセンス交渉を行えば、製品に含まれるすべての部品を交渉対象とすることができ、結果、交渉コストを削減できる」とするが、製品販売後に特許権者からライセンス料を要求された場合、サプライチェーン(供給網)でライセンス料をどのように負担するのか、あらかじめ決めておく必要があるとした。また、最終組立メーカーがライセンス料の支払いをサプライヤーに負わせる場合、標準必須特許の支払いを契約から除くことが大切だとした。この場合は最終組立メーカーがライセンス料をいったん全て支払い、負担分に応じて部品メーカーが支払うといった手法も紹介した。

特許庁は今回の手引きを広めることで、コネクテッドカー市場などに新規参入を目指す部品メーカーやベンチャーなどを後押しする考えだ。

日刊自動車新聞6月12日掲載

開催日 2018年6月5日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

特許庁

対象者 自動車業界
リンクサイト

標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き

http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180605003/20180605003.html