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2018年6月13日

政府、統合イノベーション戦略の素案公表

政府は、統合イノベーション戦略の素案を6日までに公表した。自動運転や医療、宇宙開発など分野ごとに政府戦略本部がまとめてきた個別戦略の一部を統合し、社会実装を加速させたり、国際競争力を保つのが狙いだ。15日にも閣議決定し、戦略に盛り込まれた施策を省庁横断的に調整・推進する機関として、官房長官を議長とした「統合イノベーション戦略推進会議」を設置し、具体化に着手する。

政府はこれまで、宇宙開発戦略本部やIT社会推進戦略本部、健康・医療戦略推進本部などで個別に戦略をつくり、政策に反映させてきた。一方で人工知能(AI)やビッグデータ、人材育成、大学や制度の改革といった共通課題も浮上。こうした課題を一体的に議論したり、連携を促して全分野の戦略を加速させるため統合イノベーション戦略をつくることにした。
まずは第5期科学技術基本計画で打ち出した「ソサエティ5・0」の実現に向けてデータの共通基盤を整備する。分野ごとの連携を強化して3年以内に共通基盤をつくり、5年以内の本格稼働を目指す。海洋情報や衛星情報、医療・介護情報、自動運転用地図情報などを想定している。合わせて、AIによるビッグデータ解析が可能な環境づくりにも着手する。欧米の動向もにらみ、サイバーセキュリティー対策や個人情報保護などの水準も高めていく。

素案にはIT人材の育成強化も盛り込んだ。経済産業省の調査では、20年に先端IT人材で約5万人、一般的なIT人材で約30万人が不足するとの推計がある。このため、25年までに先端IT人材を1年当たりで数万人規模、IT人材を数十万規模で育成し、32年までに全ての生徒がITに関する知識や技術を習得できるように環境を整える。大学では理系を中心とした教育の底上げやAI関連の学び直し、AI関連検定の拡充などを検討していく。また、大学改革の一環として、国立大学の業績評価に基づく年俸制の導入を広げるほか、年功にとらわれない適材適所の人材配置と新領域に挑む仕組みを整え、重点分野に研究費が配分されるようにする。研究開発型ベンチャー企業の創業環境も整備し、「ユニコーン」と呼ばれる時価総額10億ドル(約1100億円)以上の未上場企業を23年までに20社創出する目標も掲げた。
このほか、バイオテクノロジー分野で来夏にも新戦略をまとめるほか、環境・エネルギー分野では水素やエネルギーマネジメント、創エネ・蓄エネの取り組みを加速させる。

日刊自動車新聞6月9日掲載

開催日 2018年6月6日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

政府

対象者 自動車業界
リンクサイト

内閣府ホームページ

http://www8.cao.go.jp/cstp/senryakukaigi.html