2018年5月26日
国もEDR搭載の義務付け方針を打ち出す、事故時の責任を速やかに特定
国も一定水準以上の自動運転車にEDRの搭載を義務付ける方針を打ち出している。
事故時の責任関係を速やかに特定し、被害者救済に日数がかかるのを防ぐのが狙いだ。義務付け対象やEDRの要求仕様などは今後、警察庁や国土交通省を中心に詰める。
政府が4月に公表した自動運転制度整備大綱では、責任関係の明確化に向けた方針が打ち出された。具体的には、高速道路上などの一定条件でシステムが運転責任を負う「レベル3」以上の車両について、2020年をめどにEDRなどの記録装置や事故時の記録提出を義務付ける。
現行の自動車損害賠償保障法(自賠法)では事故被害を迅速に救済するため、事故の責任主体を運転者と企業や運送会社などの「運行供用者」と規定している。大綱は25年頃までは運行供用者の概念を維持し、欠陥起因が疑われる事故はEDRや専門機関などで原因を速やかに特定し、欠陥が認められれば被害者に保険金を支払った保険会社がメーカーに求償できるようにする方針を示した。この求償権行使の実効性を確保するための枠組みも検討する。
現在、レベル3の車両はまだ実用化されていないが、EDRの普及自体は進み始めている。EDRの車両挙動データやドライブレコーダーの映像は客観性が高く、ボッシュによると、すでにEDRの搭載を義務付けている米国では「(既存の交通事故における)裁判の証拠資料として活用されている」という。数年以内には欧州、中国でもEDRの搭載が法制化される予定だ。
日本でも犯罪捜査などにドライブレコーダーの映像が使われ始めた。匿名化や寡占などの課題もあるが、データは「21世紀の石油」とも言われるだけに、車載EDRの動向はさまざまな関係者の注目を集めそうだ。
日刊自動車新聞5月23日掲載
カテゴリー | 会議・審議会・委員会 |
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主催者 | 政府 |
対象者 | 自動車業界 |