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2018年5月24日

軽トラックに相次ぎ先進安全装備、ニーズの高まり受け

◆高齢者の事故増も背景に
軽トラックに先進安全装備の導入が相次いでいる。ダイハツ工業が「ハイゼット・トラック」に衝突回避支援システムを採用したほか、スズキも「キャリイ」に前後誤発進抑制機能を設定した。先進安全装備は高級車を皮切りに採用が始まり約10年が経過。安全性能へのニーズの高まりや高齢者による事故増加を受け、コスト要求が厳しい軽トラックにまで普及するなど広がりを見せている。

5月に入り、ダイハツとスズキがそろって軽トラックの安全性能を強化した。軽トラックの生産は2社に集約されており、これを受けて軽トラックでも安全装備の普及が加速している。
これまで両社ともに軽ワンボックス車には衝突回避支援システムを搭載していたものの、軽トラックでは横滑り防止装置(ESC)の未設定やシステムコストなどを理由に採用を見送っていた。加えて軽トラックは市場自体の縮小が続いている。軽貨物車の2017年度新車販売台数を10年前と比べると、軽ワンボックス車は8・5%増加したものの、軽トラックは16・9%減少した。

一方で軽トラックは農作業などを中心にニーズが高いものの、日常の足として利用するユーザーも増えている。日本自動車工業会の「軽自動車の使用実態調査報告書」によると、軽トラックを乗用で使うユーザーの割合は09年度の5%から17年度は26%に上昇した。実際に「買い物など軽トラックを普段使いするケースも少なくない」(スズキ関係者)という。さらに軽トラックは高齢者が利用するケースが多い。ダイハツの鈴鹿信之チーフエンジニアは「家族から安全性の高い車に乗ってほしいというニーズが高い」といい、安全性能を強化した背景を説明する。

これを受けてダイハツは、衝突回避支援システム「スマートアシスト」(スマアシ)を軽トラック向けに最適化した「スマアシⅢt」をハイゼット・トラックに導入した。新たにESCを設定するとともに、乗用車などに展開している世界最小のステレオカメラを採用し、軽トラック初の自動ブレーキを実用化した。軽トラックでは荷台の積載量など前後の重量バランスが大きく変化するため、システムの作動速度を引き下げた。これにより車両や歩行者への自動ブレーキや車線逸脱警報、誤発進抑制制御など乗用車と遜色ない機能を実現した。
スマアシⅢtでは軽トラックで販売比率が高いマニュアル車にも同社として初めて設定した。価格も5万4千円とスマアシⅢから約1万円引き下げ、価格に敏感な軽トラックユーザーの獲得を図る。

一方のスズキは、前後に二つずつ装着した超音波センサーで障害物を検知してエンジン出力を制御する前後誤発進抑制機能を設定。高齢ドライバーで近年問題視されているペダルの踏み間違えによる事故に対応した。同時に追加した室内空間を拡大した「スーパーキャリイ」に全車標準化するとともに、標準車にも1万6200円でオプション設定。安価で効果的な安全装備として訴求し、販売拡大につなげていく狙いだ。
日刊自動車新聞5月19日掲載

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

ダイハツ工業㈱、スズキ㈱

対象者 一般,自動車業界