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2018年5月22日

新技術の整備用語、目立つ類義語の乱立 将来は整理や統一を

衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)など新技術の整備用語が乱立し始めた。自動車メーカーや整備機器事業者、損保業界などで名称や定義などが微妙に異なる。技術の高度化に伴い今後も用語が増える可能性があり、将来は整理や統一も求められそうだ。

代表例が修理や部品交換時にカメラやミリ波レーダーなどを再調整する作業。今は「エーミング」や「キャリブレーション」などと呼ばれる。メルセデス・ベンツは電波を反射する「ターゲット」を使わずに車両を走らせながら調整する作業を走行キャリブレーションと呼ぶが、ヤナセはターゲットの有無に関わらずキャリブレーションと呼ぶ。アウディはターゲットを使う作業がキャリブレーションだ。一方で、事故調査などを手がけるあいおいニッセイ同和損害調査は、ターゲットを使う作業をエーミング、使わない作業をキャリブレーションと呼ぶ。
車両制御を担うプログラムの更新などに関しても「コーディング」「アダプテーション」などの用語がある。コーディングは欧州車を中心にカスタマイズ(合法改造)手法の一つとして認知されており、ポジションランプをデイライト化するような作業を意味する。ただ、整備の過程でECU(電子制御装置)を交換する場合、メーカーから送られるECUを仕向地別にプログラミングする作業もコーディングと呼ばれる。こうした作業をアダプテーションを称し、コーディングと区別している整備機器事業者もある。

現在、こうした用語に明確な定義や区別があるわけではなく、企業や業界が独自に用いているのが現状だ。今は特に問題になっていないが、こうした作業が一般的になると、整備機器のカタログ表記や顧客への説明、見積もりのやりとりなどで乱立する用語が思わぬ誤解を生む可能性もある。

政府は2020年代に高速道路上でハンドルから手を離した状態で走る「レベル3」車両を実用化する方針。自動操舵や緊急回避など技術が高度化するに連れ、増加が見込まれる整備用語の整理や統一が必要になりそうだ。
日刊自動車新聞5月18日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社

対象者 自動車業界