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2018年5月21日

日整連調査、機器や情報・人材 整備工場に依然格差

自動車整備の難易度が上がる中、新車ディーラー系と一般整備工場とで機器や人材、情報面などの格差が依然として大きいことが日本自動車整備振興会連合会(日整連)の調査でわかった。

車載式故障診装置(OBD)を活用した自動車検査(車検)も2024年に迫る。カメラやセンサーを調整する機会が多い板金業も含め、こうした格差をどう縮めていくかが引き続き課題となりそうだ。

日整連が「2017年度自動車整備白書」作りのため新車ディーラー系約3千社、一般整備工場約5800社から有効回答を得た調査で明らかになった。
専・兼業工場が「最も困っている」と指摘したのが「対応できる整備機器がないこと」。回答者数の23・9%を占め、ディーラーの3・2%を大きく上回った。分解整備はもちろん、車体整備でも不可欠になっている外部故障診断機(スキャンツール)が代表格だ。メーカーから専用スキャンツールを入手できる系列ディーラーはこうした悩みが少ない。ただ、他銘柄も含め中古車事業に積極的なディーラーの中には同じ悩みを抱えているところもある。

また、「整備情報が入手できない」と回答したディーラーも1・1%にとどまったのに対し、専・兼業は11・8%と1割を超えた。国土交通省は汎用スキャンツールの仕様作りを通じ、メーカーやインポーター(輸入業者)に必要な整備情報の開示を求めている。汎用スキャンツールの登場で以前より情報開示が進んだことは確かだが、機能の多様化や向上も依然として激しく、いたちごっこの様相も呈しかねない。「次世代自動車のみならず、保有台数のすべてをディーラーだけで対応できるわけではない」(車体整備業の業界団体幹部)と一層の情報開示を求める声も上がる。
「技能教育を受ける機会がない」と回答した専・兼業は16・3%で、3・6%だったディーラーとの差は実に4倍以上だ。日整連など業界団体をはじめ、機械工具商社やメーカー、損保などが専業者向けに各種の研修を開いているが、とくに中小・零細(小規模)企業では研修に派遣する余裕がないとの声もある。技能教育に関しては、事業者(経営者層)と従業員とで研修への認識にズレがあることが国土交通省の調査でわかっている。

日刊自動車新聞5月15日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本自動車整備振興会連合会(日整連)

対象者 自動車業界