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2018年5月16日

二輪メーカー業績好調、アジアで需要拡大 先進国は大型伸長

国内メーカーの二輪車事業の業績が好調に推移している。世界最大手のホンダが過去最高の販売を更新したほか、ヤマハ発動機も着実に利益を拡大。スズキは4期ぶりに黒字化を果たした。日本勢が存在感を示す二輪車市場では、アジアを中心に需要拡大が続くほか、欧米など先進国では市況回復により収益性の高い大型車が伸長している。四輪車に比べて事業規模は大きくないものの、好調な業績を下支えしている。

ホンダの17年度の二輪車販売は、前期比10・7%増の1955万4千台と2期連続のプラスとなり、過去最高を更新。インドの同22・2%増をはじめ、ベトナムやタイなどアジアを中心に台数を伸ばした。その結果、売上高は同18・8%増の2兆387億円、営業利益は同56・4%増の2670億円と大幅な増収増益を確保した。営業利益率も同3・2ポイント増の13・1%まで上昇した。18年度は同5・1%増の2054万5千台と初の2千万台超えの販売を計画。さらなる増収増益を目指す。 ホンダの二輪車事業の売上高を見ると、四輪車事業の2割以下にとどまるものの、営業利益は7割を超えるなど利益率が非常に高く、二輪車事業が収益性を下支えしている様子がうかがえる。

近年、低迷が続いていたスズキの二輪車事業も回復基調を示している。17年度の販売台数はインドやASEAN、中国などの大幅増により同15・5%増の158万台と9期ぶりにプラスに転じた。その結果、売上高は同19・4%増の2464億円、営業利益も前期の9億円の赤字から46億円の黒字まで改善した。鈴木修会長は「二輪車は何とか黒字となった。今後はアジアの50ccや100ccはなくなるだろうし、スクーターも150ccが最小排気量となるのではないか。大きい車を造って世界で展開していく」といい、収益性改善に向けた戦略を加速させる方針だ。

二輪車事業が売上高の6割以上を占めるヤマハ発動機も好調に推移している。17年(1~12月)の販売台数は、前年比4・6%増の539万台と6年ぶりに前年実績を上回った。さらに新興国での高価格商品の販売増や新プラットフォームによる収益性改善などにより営業利益は同91・4%増と大幅に改善した。18年1~3月期も欧州で減少したものの新興国で販売を伸ばした結果、二輪車事業の売上高は前年同期比3・7%増、営業利益も同4・3%増と増収増益を確保した。

川崎重工業は、新興国向けで減少したものの、先進国向けが好調に推移した結果、17年度の二輪車事業の売上台数は前期比3・4%増の2063億円だった。18年度はさらなる販売増を見込むものの、円高の影響などにより前期並みの収益を見込んでいる。
日刊自動車新聞5月12日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界