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2018年5月13日

警察庁、レベル3以上の自動運転車 報告書で課題列挙

警察庁は「レベル3」以上の自動運転車で想定される課題と対応方針を報告書にまとめた。

自動運転中に許容される運転以外の行為(セカンドタスク)や車両の安全性の担保、事故が起こった際の罰則規定や走行データの活用法などの課題を列挙し、対応の方向性を示した。政府として目指す2020年代の実用化をにらみ、道路交通法などを見直す指針となる。

同庁が昨夏に設置した「技術開発の方向性に即した自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会」がまとめた。道交法上でレベル3車両の焦点のひとつは、セカンドタスクをどこまで許容するかだ。同委員会の海外視察によると、ドイツではシステムから運転要請があった場合に運転者が直ちに運転を引き継げるよう、睡眠は認めていない。今回の報告書でもドイツと同様に運転を引き継ぐ可能性を考慮し、睡眠や飲酒を認めない方針を示した。一方、テレビ鑑賞や携帯電話の通話、メールの送受信、食事などは、システムの機能限界を警告できるなど一定条件を設けて認める方向性を示した。

安全性の担保については、事前審査の方法や、複雑化する自動運転システムの点検・整備を現行法と同じように運転者に委ねるのが適当かどうかは焦点だ。運転免許については、従来の運転技術と自動運転中に必要な技術を整理した。自動運転システムはメーカーごとに異なるため、販売時説明方法も課題とした。

ドイツでは、自動運転車の位置や時刻情報を衛星で捕捉し、運転者が交代した時やシステムトラブルがあった場合にデータを保存する仕組みがある。報告書でも、こうした事例を踏まえつつ、事故が起こった際にはどのようなデータが必要かを明確化するほか、保存方法や期間などについても議論を進める方針を示した。また、事故発生現場に到着した警察官がシステムの状況を直ちに確認できるような仕組みを整備する必要性も指摘した。
警察庁は今回の報告書や「自動運転制度整備大綱」などを踏まえ、関係法令の見直し作業を進めていく。

日刊自動車新聞5月9日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

警察庁

対象者 自動車業界