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自動車産業インフォメーション

2018年5月4日

米アルミ制裁発動1ヵ月、日系、当面は影響ないが…

◆新興国値崩れや調達先の変更 先行き懸念も
国内アルミニウムメーカー各社が、米トランプ政権が3月末に発動したアルミの輸入制限に伴うビジネス環境の変化に警戒感を強めている。発動から1カ月が経過した4月末の段階では「大きな変化は生じていない」(UACJの岡田満社長)と現状通りのビジネスが続いているとしている。ただ、米で締め出された製品が新興国に流出し値崩れすることが懸念されている。さらに、米の制裁で露大手メーカーのアルミ地金の流通が滞り、調達先の変更に迫られる可能性も浮上するなど、今後も予断を許さない状況が続きそうだ。

日本アルミニウム協会の会長を務める岡田社長は、同協会の記者会見で制限発動から1カ月後の状況について「日本の高品質なアルミ製品は、そう簡単には置き換えできないと思っていたが、そういう方向に行っている」と、大勢に変化はない模様だ。
また、神戸製鋼所の河原一明常務執行役員も「足元の影響はほとんどない。短期的な代替は難しいので、今期はあまり大きな影響は出ない」と楽観的な見通しを示した。
ただ、世界的なアルミ地金大手の露UCルサールの地金が、トランプ政権の対露制裁によって流通が停滞。「個社にはいろいろな影響が出てくる可能性が十分にある。当面は各社とも対応できると見ているが、長期化すると簡単な問題ではなくなる」(岡田社長)と、ボディーブローのようにじわりとダメージが効いてくることが懸念されるという。

米制裁の影響を最小限に食い止めるため、政府の取り組みに期待しつつも「個社ごとにしっかり動いて対応していかなければ乗り切れなくなるかもしれない」(アルミ業界関係者)との声もあがる。米の制裁対象から除外された韓国やEU勢が転注獲得を虎視眈々と狙っている。日系各社はさらなる技術革新などを実現し、優位性を確保することが当面の課題となる。

日刊自動車新聞5月1日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本アルミニウム協会

対象者 自動車業界