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2018年5月4日

“三輪バイク”が人気、前二輪で安心 転倒不安を払拭

三輪オートバイの国内市場が拡大している。ヤマハ発動機が新機軸として2014年に発売した「トリシティ」が人気を集め、イタリア生まれのADIVA(アディバ)も都内にショールームを開設して販売を強化する。年内には趣味性の高い大型モデルも加わる見通しで、新たな需要を掘り起こしそうだ。(村上祐司)

三輪オートバイと言っても配達用に使われる前一輪・後二輪式とは逆で、前二輪・後一輪という構造。日本では馴染みが薄いが、欧州では以前からある車型だ。

日本で注目されたのはヤマハ発動機が本格参入してからだ。同社は三輪オートバイを「LMW(リーニングマルチホイール)」と名づけ、まず125cc版を14年秋に発売した。車体を二輪車のように傾けて(リーン)曲がることが語源だ。二輪車は前輪が滑ると転倒に直結しやすい。LMWは二輪車のスポーツ性を維持しつつ、前輪を二輪にして安定性を格段に高めた。
125cc版はビジネスユースのほか、二輪に興味があるものの、転倒が不安で及び腰だった潜在需要を掘り起こした。初年度は同社の予想を上回る3750台を販売。17年には高速道路も走れる155cc版を追加した。155cc版の販売は125cc版を上回り、17年の実績は両モデル合わせ2850台に達した。
「乗り物としての認知度が広がってきた」と判断したアディバの池田元英社長は、初のショールームを東京都港区の本社近隣にオープンさせた。イタリア生まれで現在は日本資本というアディバは、新ショールームで「AD3 400(399cc)」「AD1 200」(199cc)の2モデルを売り込む。二輪スクーターも含め、年間1千台の販売を目指す。

ヤマハ発動機は「NIKEN(847cc)」を年内に発売する。趣味性の高い大型スポーツバイクだが、15インチの前二輪を計4本のフロントフォークが支え、旋回時や横風を受けた時の安定感はLMWならではだ。外観も従来の二輪車にはない迫力を持ち、売れ行きしだいでは他メーカーが追随する可能性もある注目車だ。
国内の二輪車市場は長期縮小を続け、昨年は約37万5千台になった。ただ、趣味性の高い軽二輪(250cc級)や高額な小型二輪(251cc以上)は新型車効果や女性、リターンライダーの需要に支えられ底堅い動きも見せる。スポーツ性と安全性を両立させた三輪オートバイの認知が進めば、新需要を呼び込むことも期待できそうだ。

日刊自動車新聞4月28日掲載

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
主催者

日刊自動車新聞取材

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界