2018年5月1日
経済産業省、空飛ぶクルマ開発支援事業 20年代の実用化想定
経済産業省による「空飛ぶクルマ」開発支援事業の概要が明らかになった。
まず、政府の「未来投資戦略2018」として閣議決定後、政府内で関係法令の議論を始めたり、民間の協調・競争領域を切り分けたりする。協調領域の実証事業費を2019年度予算に盛り込みつつ、今秋には将来ビジョンや20年代の実用化を想定したロードマップ(行程表)をまとめる。
経産省は3月の産業構造審議会(経産相の諮問機関)で空飛ぶクルマの開発支援を初めて表明。同省製造産業局を中心に横断チームをつくり、政策の具体化に乗り出した。
まずは日本経済再生本部による未来投資戦略に盛り込むよう、省内での議論や調整を進める。
国家プロジェクトとしての位置づけを明確にした後、関係法令を所管する国土交通省や警察庁などと連絡会議を立ち上げ、法令や制度面での議論を始める。欧米での議論と整合させつつ、課題や対応のあり方を整理する。
技術面では、協調領域の一つとして安全基準づくりを具体化する考え。トヨタ自動車やNECからの出資を受けて「空飛ぶクルマ」の開発を進めるカーティベーター社のほか、無人機の製造を手がけるスバルや航空機事業を持つホンダなどの自動車メーカー、国内のドローン(無人航空機)メーカーや電池・モーター企業を集め、コンソーシアム(企業連合)を組んで必要な技術や基準の議論を始める。経産省は耐空性などを確かめる実証事業を想定し、事業費を19年度の概算要求に盛り込む考え。その後、ビジョンやロードマップをまとめて官民で開発を本格的に進める。
空飛ぶクルマについては、米ウーバーや欧州エアバスなどが相次ぎ開発や事業化方針を表明した。安全確保の難しさや社会的受容性を含めて懐疑的な見方も多いが、経産省は航空部品やドローン、自動車、電機などの有力企業がそろう日本で空飛ぶクルマの開発プロジェクトを進め、欧米に後れを取らないようにするとともに派生技術や製品、人材交流などの副次的な効果も狙う考えだ。
日刊自動車新聞4月26日掲載
カテゴリー | 会議・審議会・委員会 |
---|---|
主催者 | 経済産業省 |
対象者 | 自動車業界 |