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2018年4月23日

日刊自動車新聞社 整備学校本紙アンケート、学生確保へ試行錯誤

学生数が減少する中、学校の魅力をいかに伝えるか―。日刊自動車新聞社が行った調査では、今年度の整備学校への入学者数は半数以上の学校で減少したことが分かった。

また学生の確保が急務となる中で、オープンキャンパスなどの開催回数に変化がない学校が多く、今後どのような方法で学生を確保するのかを模索している現状が浮き彫りとなった。本調査は、3月に全国の整備大学校や整備学校計76校を対象にアンケート方式で実施し、49校から回答を得た。

入学者数について、60%が「学生が減少した」と回答。定員割れした学科を抱える学校も多くあることから、今後は学科の再編や、女子学生・留学生などを積極的に受け入れる動きが加速するだろう。一方で、55・5%の学校が「留学生が増加した」と答えた。特にベトナム、スリランカからの増加が著しかった。留学生に期待する点として「人材不足の解消につながってほしい」「日本語能力向上と国家資格取得を達成してほしい」などの声があった。しかし来年度以降の留学生募集については、51・5%が「今までと同ペースで行いたい」としており、留学生による学生数確保には限界があるとみられる。また、奨学生数は37・7%が「増加した」としており、年々増加傾向が出ている。

オープンキャンパスや学校説明会などの開催について、75・5%が「変化なし」とし、22・2%が「増加した」と答えた。職員数などを鑑みるとイベント実施にも限界があり、より多くの人に発信できるホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を駆使してPRを行うところも増えている。今後どのようなアプローチで他校と差別化を図るかが依然大きな課題だ。
また10%強が、地域の子供や中学生など入学までまだ時間のある世代向けにイベントなどを実施しており、早くから自動車業界に関心を持ってもらおうとの働きかけがみられる。さらに、女子学生確保に向けて女性限定のオープンキャンパスを実施し、パウダールームなど設備の特色をアピールする学校もあった。

昨年度に卒業した学生の就職内定時期について、51・1%が「時期が早まった」と回答。ただ学生の8割が就職内定時期については4月上旬~翌年3月とばらつきがあった。主な就職先はディーラーが最も多く、次いでカー用品店や中古車販売店と続く。整備専業者の割合は低かった。
企業から求められる人材を育成するため、学習カリキュラムにメーカー担当者を招いての講習会や、電気自動車(EV)を教材に採用する動きがある。また、来年度以降に新学科の創設や、文部科学省が平成31年度から新たに高等教育機関として設置する「専門職大学」の申請を検討する学校も少なくない。整備学校は学生数の確保を急務としながらも、次世代車の技術に対応できる学校教育の改定や人材育成を求められており、時流に添った学校づくりが求められている。

日刊自動車新聞4月19日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社

対象者 自動車業界