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2018年4月15日

国交省、OBD車検に関する中間報告 警告灯の役割は? 

国が2024年からの実施を目指す車載式故障診断装置(OBD)車検で、車両についている警告灯の活用法が議論になっている。自動車メーカー側は当初、警告灯で車検の合否を判断するよう求めたが、点灯条件の統一が難しいうえ、検査現場から「受検者への説明が難しい」(自動車技術総合機構)との指摘もあり、議論は下火に。ただ、欧米メーカーの意向を汲む日本自動車輸入組合(JAIA)は簡便な警告灯方式にこだわっており、今月末の中間報告が注目される。

OBD車検は、現行の試験機や目視では保安基準適合性が判断できないABSや衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などの装置を車検でチェックするもの。自動操舵など、故障が事故に直結する装置の増加をにらみ、国土交通省が昨年暮れから検討会を立ち上げ、導入に向けた議論を始めた。

日本自動車工業会は当初、警告灯で車検の合否を判断するよう提案した。車検時にスキャンツール(外部故障診断機)をつなぎ、DTC(故障コード)を読み取る方式にするとDTC情報の管理に手間がかかるからだ。「仮に1類別(型式)当たり100件の特定DTCがあると、年間3500万件の特定DTCを国に申請し、管理する必要がある」(自工会)という。
ただ、警告灯の点灯条件はメーカーによってバラバラ。故障表示だけでなく注意喚起の役割も担うため、車検には使いにくい。自動車技術総合機構は「保安基準不適合箇所をユーザーに説明しないと制度がまわらない」と難色を示す。単に「警告灯が点いているから」では車検に落ちた受検者が到底、納得しないというわけだ。

車検での活用を視野に警告灯の点灯条件などを国際統一すれば良さそうだが、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で車検制度は調和議論の対象外。日本だけの都合で警告灯の基準を変えるわけにはいかない。国交省は「先進技術の普及率が高い日本が議論を進めていかないと国内の実態に遅れをとってしまう」(自動車局整備課)と話す。

国交省が中間報告案を示した先月末の検討会。これまでの議論でスキャンツールでDTCをチェックする方針が固まり、専門部会の新設や実証実験案なども提示された。しかし、JAIAは警告灯方式を再考するよう求め、国交省は「具体的な提案をペーパーで頂きたい」と応じた。今月末の中間報告で警告灯がどのように扱われるか注目だ。

日刊自動車新聞4月13日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界