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2018年4月9日

原付二種免許、最短2日で 警察庁が規制緩和、二輪業界は歓迎

警察庁が原付二種(125cc級)のオートマチック(AT)限定二輪免許の規制を緩和する方針であることが6日までに明らかになった。

普通免許を持っていれば最短でも3日間必要だった教習期間を2日に縮めるという。原付一種(50cc級)がガラパゴス化し、原付二種へのシフトを要望していた二輪業界にとっては一歩前進だ。産業政策を4年前に打ち出した経済産業省も今後を注視する。

◆AT限定、普通免許が必要
現行制度では1日当たり2~3時限しか技能教習を行えず、普通免許を持っていたとしてもMT(手動変速)免許は4日、AT限定免許でも3日かかる。日本自動車工業会は教習時間を減らしたり、技能検定の代わりに「みきわめ(教習効果の確認)」で卒業できるようにし、AT免許なら最短1日で取れるよう求めてきた。
警察庁は「二輪車全体の交通事故が減少傾向にあるなか、小型二輪は他の二輪車に比べ事故の減少幅が小さい。慎重な検討が必要だ」(運転免許課)と難色を示してきたが、自工会の実証結果や与党議員連盟の後押しもあり、1日当たり教習時限を増やすことにした。免許取得者が増える7月頃の施行を目指しており、教習所によっては週末だけで原付二種の免許を手にすることが可能になる。

自工会は、二輪のなかでも機動性に優れ、維持費が安い原付二種を“生活モビリティー”と名づけ、安全確保を前提に免許を取りやすくするよう政府に要望してきた。背景の一つには、国民の足として活躍してきた原付一種市場への危機感がある。所得向上や軽自動車へのシフトなどで販売が激減した結果、量産効果が望みにくくなった。アジアは125cc級が主力で、輸出も見込みにくい。ヤマハ発動機の日髙祥博社長は「2025年には次期排ガス規制が始まる。50ccの原付は20万円まで価格を上げないとコストが見合わないという状況になり、市場はさらに厳しくなる」と見る。

二輪市場の活性化へ免許制度の見直しが役立つとの声は多い。例えば、日本で言う普通二輪免許(400cc級)は欧州の場合、出力35キロワット(約47馬力)以下なら排気量を問わず運転できる。世界的にもミドルクラスは600cc級だが、日本で乗るには大型免許が必要だ。国内外のメーカーは排気量を400cc級に下げて日本に投入したりする。輸入二輪メーカーが加盟する日本自動車輸入組合(JAIA)は免許制度を欧州のような出力別に見直すよう要望している。

経産省は2014年暮れにまとめた「自動車産業戦略」のなかで、次世代自動車などとともに二輪車を盛り込んだ。翌年には20年に国内新車販売100万台、世界シェア過半を目指すロードマップ(行程表)もまとめ、官民で取り組みが進む。数値目標の達成には黄信号が灯るが、経産省は「台数はもちろんだが、売上金額や収益など指標は他にもある」(自動車課)とし、電動系二輪も含めて産業政策を練り直す考え。事故が増えないよう官民で工夫する必要はあるが、“生活モビリティー”の普及に向けた免許規制の緩和は、産業政策の実効性を高める上でも大事な一歩になる。

日刊自動車新聞4月7日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

警察庁

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界