2026年9月29日
〈インタビュー〉国交省・自動車整備課長 平澤崇裕氏、安全な車社会へ整備網維持に力
自動車整備は安心・安全な車社会を支えている一方、技術の高度化や整備士不足など多くの課題を抱える。こうした業界の現状認識や解決に向け必要な施策などを国土交通省物流・自動車局の自動車整備課長に就いた平澤崇裕氏に聞いた。
平澤崇裕氏
―業界の現状をどう捉えているか
「整備業は今、高度な技術への対応や人材不足、生産性の向上といった大きな課題に直面している。整備工場は適切な点検・整備で車社会を支える『エッセンシャルサービス』だ。今後も整備網を全国で維持することが重要であり、ユーザーを含めたすべての関係者と、こうした課題への共通認識が得られるように努めていきたい」
―9月は「自動車点検整備推進運動」の強化月間に当たる
「点検整備の重要性の周知に当たっては、関係者がワンボイスで取り組むことが、より効果的なのではないか。この運動は関連している団体が多いため、関係者と一緒になって取り組んでいきたい」
―整備士不足が深刻化しているが、外国人材の受け入れの考え方は
「2027年4月に始まる『育成就労制度』では、整備も受け入れ可能な分野となっている。現在準備を進めており、26年5月に外国人を受け入れる整備工場の要件や、管理支援機関の要件を定めた告示を出した。また、『自動車整備分野育成就労協議会』も立ち上げ、加入手続きを行っている。 引き続き関係者の意見を聞きながら、取り組んでいく」
―車体整備業界では工賃単価の改善気運が高まる
「日本自動車車体整備協同組合連合会やBSサミット事業協同組合など、主要団体と緊密に連携して情報交換を進めている。車体整備業界にはさまざまな課題があり、行政が取り組む分野であると感じている。やりがいのある分野だ」
―車体整備の標準作業時間の実態調査を出した
「26年度も引き続き調査を実施する予定だ。公表資料にも記載したが、どっちがどうだということではなく、これから関係者と標準作業時間について議論していくことが重要だ。対話はこれから進めていくことになる」
―物流政策課長時代に物流の「2024年問題」に対応した
「下請けの構造や付帯業務に対する対価が支払われていないなど、車体整備の業界と構図が似ている。課題解決にはユーザーを含めた業界の関係者との共通認識を構築することが大事になる」
―車体整備業界で初の基礎統計調査を行っている
「関係団体の協力を得て、関連する事業者に連絡している。調査結果は各団体の活動方針の策定や事業者が損害保険会社と行う価格交渉の基礎資料にもなるだけに、有効活用されることを期待している。国交省としても政策立案の基礎データとして活用していきたい」
―OBD(車載式故障診断装置)検査の対象車の継続検査で、検査を行わずに保安基準適合証を切った事案が発生している
「事実は把握している。足元の対象車は約690万台で、保有台数ベースでは全体の1割程度だが、今後はどんどん増えていく。指定工場には自動車検査証(車検証)の記載事項をよく確認してもらい、確実な検査が行えるように研修などを通じて継続的に指導していく」
―認証工場がOBD確認後に自動車検査場への持ち込みを増やすための方策は
「検査場でのOBD検査が省略できるメリットなどを、整備主任者研修などで周知している。また、新規で認証資格を申請する事業者に対し、認証を受けた日からすぐにOBD検査のシステムが利用できる即日対応も行っている。現在、自動車技術総合機構や日本自動車整備振興会連合会などが参画している『OBD検査モニタリング会合』において、認証工場によるOBD確認を促進する取り組みについて議論しており、引き続き活動を進めていく」
〈プロフィル〉ひらさわ・たかひろ 1995年東京大学工学部航空宇宙工学科卒。同年運輸省(現国交省)入省。関東運輸局自動車技術安全部長、自動車局審査・リコール課リコール監理室長、自動車局技術政策課自動運転戦略官、総合政策局物流政策課長、環境省水・大気環境局モビリティ環境対策課長などを経て26年7月から現職。1972年10月生まれ、53歳。神奈川県出身。












