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自動車産業インフォメーション

2026年7月31日

〈熊本地震〉現地ルポ ディーラー30店舗以上で被害確認 補修部品の供給が困難な地域も

2026年熊本地震の発生から2日たった7月30日、熊本県内の自動車関連の事業者や団体は実態把握のため、情報収集に奔走している。高速道が一部で不通になっているほか、一般道も損傷。水道や電気といった事業継続に必須のライフラインも寸断され、ディーラーや整備工場などの営業にも影響が出ている。記者が県内を訪れると、次第に被害の現状が明らかになってきた。


熊本市から南部に伸びる国道266号。通行止めの影響もあり、渋滞が続く。災害支援車両も多数通過していた


内部の一部が剥離して落ちたJU熊本のオークション会場

■災害支援車両が多く

30日午前中、九州自動車道で熊本方面に向かった。途中、県外を含む消防車や給水車、自衛隊車両といった災害支援車両が、ひっきりなしに通過し、今回の被害の大きさを裏付けていた。

高速を降りた先で、公共施設にある給水所には多くの被災者が列をつくっていた。職員に話を聞くと、「高速道が不通となる中だったが、宮崎県内から下道で山を越え、半日かけて給水支援に訪れた」という。高速道は同日現在、一部で通行止めが解除されたものの、九州道の「松橋インターチェンジ(IC)」~「えびのIC」、南九州道の「八代ジャンクション」~日奈久IC」は不通のままだ。

熊本県自動車販売店協会(西治三朗会長)で話を聞くと、同日正午時点で、少なくとも県内のディーラーの30店舗以上で、設備や展示車両の一部損壊などの被害を確認した。若干のけが人もいたという。ただ、交通網やインフラに支障がある中で、全容を把握するのは難しく、「いまだに確認中という販売会社も多い」(熊本販協)のが実情だ。特に、最大震度6強以上だった宇城・八代地域などでは停電も続いており、しばらくは店舗を営業休止せざるを得ない見込みだ。

■建物は無事も、物流の混乱は避けられず

ディーラー本社が集まる熊本市内は一見普段通りに見えるものの、多くの店舗で「臨時休業」の看板が掲げられていた。

補修部品を供給するトヨタモビリティパーツ熊本支社(桑原実支社長、熊本県嘉島町)は、断水などの影響があるとしているものの、全拠点で営業可能な状態としており、地震で被災した車両の修理の需要に応えていく考えだ。しかし、道路の寸断などが目立つ八代や天草地域への配送が難しい状況になっているという。

■助け合いで難局を乗り切る

震度6弱を記録した西原村では、JU熊本(満田和浩理事長)のオークション会場で内壁や外壁の一部が剥離するなどの被害を受けた。損傷は軽微だったため、翌週以降の競りは予定通り実施する方向で調整している。

また、JU熊本では全会員を対象に被害状況を聞き取る調査を実施しており、30日時点で約4分の1に当たる28社から、人的、物的被害の報告を受けた。震源地に近い八代地域などでは、深刻な状況の会員も目立った。そこで、急きょ職員が飲料水や食料、衛生用品などを県内外から調達。被災した会員に送り届けている最中だという。

■給油所にも列が

多くの被災者にとって、車は移動や生活を支える重要なインフラとなっている。車に必要な燃料を補給するため、わずかに営業を続けているガソリンスタンド(給油所)では車列ができていた。スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、備蓄用の水や保存がきくカップ麺などを買い求める客の姿が目立った。

こうした人々の脳裏によぎるのは、16年4月に発生した地震だ。この時も甚大な被害が発生しており、自動車関連事業者の中にも思い出す人も少なくないようだ。

取材の中で、「まさかまた来るなんて」という言葉をよく聞いた。いつ発生するか分からない自然災害に、「日ごろの備えが大事」と語る人も多かった。一日でも早く、被災者や自動車関連事業者が日常を取り戻せるよう、復旧を急ぐ必要がありそうだ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月31日掲載