2026年7月3日
国内石油元売り、エンジンオイルなど油脂類のスペック調整難航 米国などの代替調達で原油の性状に差
国内の石油元売り各社で、エンジンオイルやブレーキオイルなど油脂類の調整作業が難航している。中東情勢の悪化に伴い、米国などから代替調達している原油の性状が中東産と異なるため、定められたスペックに仕上げるのに時間を要している。石油元売り各社は、今後の原油調達の戦略次第で、精製設備の大規模改修が必要になる可能性もある。自動車ディーラーや整備工場の現場で不足気味と言われる油脂類の供給は、不透明な状況が続く。

原油の性状の違いで油脂類の調整作業が難航している(イメージ)
エンジンオイルなど自動車に使用する油脂類の石油元売りからの出荷は、中東情勢の悪化に伴う原油調達先の変化で滞っている。米国とイスラエルがイランを攻撃する前の日本の原油調達は、中東産が全体の95%を占めていたが、現在は米国やアフリカなどから代替調達を進めている。
油脂類は、原油を蒸留・精製したベースオイルに複数の添加剤を加えて、基準となるスペックに仕上げて出荷される。従来は、主な産地である中東産原油の性状をベースに製造していたが、米国産やアフリカ産の性状は中東産と大きく異なる。従来の蒸留・精製や添加剤では、定められたスペックを満たせないという。
現在は、政府が放出した主に中東産の備蓄原油と、米国産原油をブレンドするなどして精製し、従来の成分に近付けているが、ブレンドする比率が変動することから「決められたスペックに仕上げるのに時間がかかっている」(石油元売り)という。原油処理に手間取っており、出荷の正常化までには時間を要する見通しだ。
正常化には、石油元売り各社の今後の原油調達戦略も影響する。中東に一極集中した調達リスクが意識され、ホルムズ海峡の封鎖が正式に解除された後の調達先を各社が検討している。「平時の中東産原油はコストが安く、性状のパフォーマンスも高い」(コスモエネルギーホールディングス・山田茂社長)こともあって、中東産原油を重点調達に戻す可能性もある。ただ、リスク分散のため、現在代替調達している中東以外の原油の継続的な調達も各社は検討しており、政府もこれを支援していく方針。中東産以外の原油を継続的に調達する場合、その性状に合った精製設備とするための大規模改修や各産地の原油から製造するエンジンオイルなど油脂類の改めての開発が必要になる可能性もある。自動車に使用する油脂類が安定的に調達できる時期は見通せない状況だ。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞7月3日掲載











