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2026年6月23日

商用車メーカー、AMTの開発強化 女性ドライバーも運転しやすく AT限定免許導入も契機に

商用車メーカー各社が、機械式自動変速機(AMT)の開発に力を入れている。日野自動車は専用設計のAMTを2023年から展開しており、UDトラックスも最新世代のAMTをいすゞ自動車の車両を含めて搭載している。背景にはドライバー不足があり、女性なども運転しやすいように、各社はより滑らかで素早い変速機構の開発に取り組む。今年4月には商用車の自動変速機(AT)限定免許制度が新設されたこともあり、技術進化と搭載車種の拡大は今後さらに続く見通しだ。

■30年代にはAMT搭載車が多数派に

AMTの特徴は、クラッチ操作がいらない運転の負担軽減と、電子制御により誰でもスムーズに変速できる点だ。システムが適切な回転数を保つため燃費の向上も期待できる。

需要も世界的に増えている。英KGPの「グローバル商用車パワートレイン予測」によると、世界生産に占めるAMTの割合は20年時点では20%程度だったものの、30年ごろには手動変速機(MT)を上回り、その後も多数派を占めると考えられている。

背景にあるのが世界的なドライバー不足だ。特に国内の物流事業者はドライバーの残業が制限される「物流の2024年問題」への対応を迫られている。輸送効率に優れた大型車やトラクターの需要とともに、女性やシニア層などでも運転しやすい2ペダルのAMTを導入する動きが広がっている。

■専用設計AMTで乗用車並みの乗り味へ

こうした背景を受け、日野はAMT「プロシフト12」(「M112」型)を開発し、大型車「プロフィア」に搭載している。12段MTをベースに、クラッチの一種であるシンクロナイザーを廃止するなどAMT専用に再設計することで、約30キログラムの軽量化を果たした。機構と制御系も見直し、変速時間は旧型から約30%短縮したという。

日野の大型車向けAMTは専用設計でスピーディーな変速を実現

UDも「エスコット-7」を大型車「クオン」やいすゞ「ギガ」のトラクターに搭載している。2600ニュートンメートルの大トルクを受け止めることができ、伝達スピードも先代から短縮した。同社によると25年に国内で販売されたクオンの9割以上がAMT搭載車だという。

UDの「エスコット-7」(写真右)

ただ、ベテランドライバーからはMTを求める声が一定数あるのも事実だ。AMT特有の変速タイミングのズレなどが、MTに慣れたドライバーに違和感を与えているという。そのため各社は、車速やアクセル開度に合わせてより素早く、変速ショックを少なくしながら、12段のギアをきめ細かく制御し、適切な回転数を維持する技術の開発を目指す。目指すのは「乗用車ライク」(UDトラックスの担当者)な乗り味と、ベテランドライバー並の燃費の両立だ。

■脱炭素化への対応も

将来的には多様な燃料に対応する開発も求められそうだ。特に大出力が必要な大型車は電気自動車(EV)に不向きとされ、水素や天然ガス、バイオディーゼル燃料の活用に向けた開発も進んでいる。燃焼特性やトルクの出方も変化するため、駆動力を伝える変速機側の対応も欠かせない。

国内では4月、準中型と中型車でAT限定免許制度が新設された。今後もATやAMT搭載モデルは増加することが見込まれる。さらに大型車でも電動パワーステアリングの採用が広がることで、さまざまな走行状態で操舵負担の軽減が可能となるなど、ドライバーの“敷居”は着実に下がりつつある。「誰もが活躍できる持続可能な物流現場の実現」(日野)へ、商用車メーカー各社は技術開発を加速させる。

日刊自動車新聞6月23日掲載