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2026年6月15日

ものづくり現場でナフサ由来の原材料不足の影響広がる 塗装レスで架装車両を納車 中小は資金繰りの不安も

 ものづくりの現場で、ナフサ由来の原材料不足の影響が広がり始めた。トラックなどの架装メーカーは、塗料不足から一部モデルについて企業ロゴなどを塗装しない状態で出荷し始めた。部品メーカーの一部では、特に不足している接着剤の調達先拡大に奔走しているという。自動車メーカーや系列の大手サプライヤーには「原材料は前年並みの水準を確保できている」との声も多いが、中小・零細とは差がある。原材料の調達価格が先行して上昇している一方で、部品価格への転嫁までには時間がかかることから、資金繰りに頭を抱えている中小のサプライヤーも少なくない状況だ。


 ナフサ由来の原材料不足の影響が広がっている(イメージ)

 架装メーカーの矢野特殊自動車(矢野彰一社長、福岡県新宮町)は、塗料不足によりトラックを架装した後の塗装ができず、納車が遅れるケースが生じているという。顧客企業の要請を受けて、架装部分の企業ロゴなどを塗装しない状態で納車している。

 トラックは完成車メーカーの半導体不足や、架装メーカーの人手不足などで、以前から納車遅れが問題となっていた。トラック運送事業者は、運送用の車両を少しでも早く確保するため、塗装なしの状態で調達してトラックを稼働させ、塗料の流通が安定してから塗装だけを発注する意向だ。矢野特殊以外の架装メーカーも塗料不足によって、塗装しないまま納車しているという。架装メーカーは「塗装だけの受注はできない」とみており、収益悪化を懸念する。

 ゴム系の自動車部品メーカーでは、「接着剤の調達先が前年並みの量を発注しても断られている」という。このため、新しい調達先を開拓して「グローバルでかき集めている」と話す。別の樹脂系の部品メーカーでも「生産工程で使用する接着剤の調達量が不安定なのに加え、価格が急上昇している」ことを不安視する。

 一方、トヨタ系の大手部品メーカーは「原材料は確保できている。この先も価格の上昇リスクはあるが、量の確保は心配していない」という。自動車向けは「経済的な影響が大きいため、優先的に供給されているようだ」と話す大手の幹部もいる。大手は原材料を確保できているものの、調達量の少ない中小・零細が厳しい状況に置かれている。

 流通の目詰まりに関しては、経済産業省が影響を受けている企業からの相談を受け付けている。トーヨータイヤの清水隆史社長は「取引先サプライヤーが窓口に相談したところ、すぐに問題が解消されたと聞いた」と語る。原材料の調達が難しいサプライヤーに窓口の利用を促していく。

 中小・零細の部品メーカーでは原材料の安定的な調達に加え、石油化学製品の価格上昇を懸念する声が強まっている。原材料の調達価格は、ナフサなどの市況に連動して価格が上下するフォーミュラー制によって上昇しているものの、部品の価格に転嫁されるのは「早くても3カ月程度先になる」(サプライヤー首脳)ことから、資金繰りの悪化を心配する声は強い。このため、事業規模の小さい部品メーカーなどからは、部品価格の正式な交渉前に一時金などの支給を求める声もあるという。

 政府は、石油化学製品の一部で流通の目詰まりが解消していないことは認めながらも、「ナフサの全体量は足りている」としている。中東情勢の先行きが見通せない中、ものづくりの現場では、生産工程で使用する原材料の不足と価格上昇に対する懸念が高まっている。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月15日掲載