2026年6月11日
軽自動車の平均価格、10年間で46万円上昇 EV化や登録車並みの装備で コスパどう担保するか

価格上昇が続く軽自動車。登録車と変わらない機能や装備を搭載する
動きが広がる(写真は「デリカミニ」)
軽自動車の価格上昇が続いている。安全装備や運転支援機能の充実、電動化への対応などを背景に、この10年間で軽(乗用車および商用車)の平均価格は35%増、金額にして46万円上昇した。一方、平均賃金は12%増にとどまる。それでも2025年度の軽販売は前年度を上回る水準で推移した。維持費の低さや取り回しの良いサイズといった本来の魅力に加え、登録車に引けを取らない安全・快適装備を備える最新の軽。単なる「生活の足」ではなく、ファーストカー需要に応じた商品力が高い支持につながっている。
■100万円以下の軽は「ミライース」のみ
総務省の小売物価統計調査を基に、軽の平均価格を算出した。25年度は、16年度比34.8%増の177万8336円となった。前年度からも11万6157円上昇した。
一方、厚生労働省の調査によると、25年度の平均賃金(月収)は16年度比12%増の34万600円。金額では3万6600円増加した。自動車を含めた物価上昇が続く中、軽価格は大幅に上昇しており、特に車が「1人1台」で、軽の普及率が高い地方の家計にとっては小さくない負担となっている。
かつて「生活の足」として手ごろな価格が魅力だった軽の位置付けは大きく変わった。現在、メーカー希望小売価格が100万円(消費税込み)を下回る軽乗用車はダイハツ工業の「ミライース」のみ。25年度の最多販売車種であるホンダ「N-BOX(エヌボックス)」は173万9100円(税込み)からと、平均価格とほぼ同水準だ。平均価格を上回るモデルには、電気自動車(EV)のほか、ダイハツ「コペン」、スズキ「ジムニー」、三菱自動車「デリカミニ」など趣味性の高い車種が並ぶ。これは、高付加価値商品を増やし軽ビジネスの収益性を高めたい各社の狙いもある。
■登録車以上の価格も
価格上昇の要因の一つに、安全装備の充実がある。法規制の強化に伴い各種安全機能の搭載が進んだことに加え、軽ユーザーが求める商品性も変化している。
軽ユーザーは子育て世帯のセカンドカー需要のほかに、子育てを終えた層が登録車からダウンサイジングするケースも多い。こうしたニーズを取り込むために、装備や機能面では登録車との差が縮まりつつある。
例えば、25年10月末に全面改良した三菱自のデリカミニは、「アウトランダーPHEV」などに採用する専用のドライブモードを設定。さらにドライブレコーダーやグーグル搭載のインフォテインメントシステムなどを組み合わせた最上位グレードは290万7300円に達した。トヨタ自動車「プリウス」(276万9800円~)といった登録車を上回る価格帯だが、販売は好調だ。スズキはスペーシアで後席に「オットマン機能」を採用するなど、快適性を高める豪華装備は軽でも珍しくない。
■補助金なしでは厳しいEV
EVのラインアップが増えていることも平均価格を押し上げる要因だ。現在販売する軽EVは240万円以上と、トヨタ「カローラ」(238万400円~)や日産自動車「ノート」(232万8700円~)の価格を上回る。補助金を活用しなければ、ガソリン車と価格面で競争することは難しい。その中で、7月末には比亜迪(BYD)が日本市場に軽EVを投入する。低価格EVで世界市場を開拓してきたBYDがどのような価格戦略を打ち出すのか注目が集まる。
軽は「安さ」を武器とする時代から、「価格に見合う価値」を問われる時代に入った。軽の市場シェアは拡大し、ユーザーからも支持されている。一方で、従来の強みだった手ごろさは失いつつある。地方では生活の足として軽が担う役割も依然として大きい。車両コストが上昇する中で、ユーザーフレンドリーな価格をいかに実現できるかが、軽市場の維持・拡大の鍵となりそうだ。
(藤原 稔里)


| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞6月11日掲載











