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2026年6月2日

整備学校で日本人入学生が増加 安定志向が一因か 回復継続にはさらなる待遇改善が必要に

自動車整備の専門学校で、日本人学生が増加する動きが出ている。ここ数年、各校は留学生の伸びが支えていたが、今春はトヨタ整備学園(横山裕行理事長)で「日本人の新入生が2割ほど増加した」(担当者)と明かす。メーカー系以外でも、日本工学院八王子専門学校(中村英詞校長、東京都八王子市)で「前年比1.5倍に増加した」(自動車整備科)としている。外国人の整備士採用が広がりつつあるが、このまま日本人も増やしていければ、多様性のある業界づくりにつながりそうだ。

トヨタ整備学園が運営する3校(東京、名古屋、神戸)では4月、いずれも日本人の入学者数が前年を上回った。同じ、メーカー系ではホンダテクニカルカレッジ(HTC)関西(海沼弘樹校長、大阪府大阪狭山市)も、26年春に入学した日本人がプラスとなった。このほか、同様の傾向をみせた整備学校もある。

最近は少子高齢化により、整備専門学校は日本人学生の確保が難しくなっていた。トヨタ整備学園では「ここ数年、微増微減を繰り返していた」とし、日本工学院も「25年まで横ばいだった」という。この間、留学生の割合が新入生の半数ほどになるところもあった。少子化や若者の車離れが響き、整備士への関心が薄れてきたことが大きかった。

 

 ここにきて反転したことについて、各校は「要因を分析しきれていない」と口をそろえる。一因として考えられるのは、この数年で整備士の待遇改善が進んだことだ。

 

日本自動車整備振興会連合会(日整連、喜谷辰夫会長)がまとめた「自動車整備白書」によると、10年代後半まで整備要員の平均年収は400万円を割っていた。これが20年代に入り一転。ディーラーを中心に給与水準が高まり、25年度調査では前年度比4.0%増の442万円にまで上昇した。各社が働き方改革を推進したことで、残業抑制や休日が増えていることも後押ししているとみられる。

 

加えて、保護者を含めて、就業に対する意識が変化していることも追い風になっていそうだ。日本工学院の教員は「子どもに安定した資格職についてほしい保護者が増えており、それに同意する高校生も多い」と指摘している。トヨタ整備学園でも「手に職をつける仕事への需要が高まっている」とみている。グローバルで政情が不安定になる中、安定志向が強まっていることも進路選択に影響を与えている可能性は高い。

 

ただし、このまま整備専門学校に進む日本人学生が増えていくかは未知数だ。ある関係者は「地域差もありそうで、整備学校全体の傾向とはまだ言い難い」と見立てる。文部科学省によると、整備士を育成する専修学校の25年度の入学者は前年度比5.2%増の9391人と2年連続で増えたが、留学生がけん引したところが大きいようだ。

 

日本人の入学者を安定的に増やすためには、さらに整備士の環境改善に取り組むことが求められる。給与水準は着実に上がっているものの、国が公表している全職種平均(477万円、24年)は下回っている。この差を早期に埋めていくことも、若年層の整備士への関心を高める一手となりそうだ。

日刊自動車新聞6月2日掲載