2026年5月28日
〈レベル4自動運転バス〉実証実験は広がるが… 本格営業運行には高い壁 厳しい政府目標で開発競争促す
政府は2030年度に「レベル4」(特定条件下での完全自動運転)の自動運転が行えるバス、タクシー、トラックを1万台に増やす目標を打ち出した。ドライバー不足が深刻化しており、「移動の足」の確保や物流の安定供給を図る狙いがある。その柱と目されるのが自動運転バスで、運行や実証実験が全国で展開されている。本格的な営業運行への期待が高まるが、課題も少なくない。
日本バス協会の試算によれば、少子高齢化を背景とした担い手不足により、30年には必要人員の約3割に当たる3万6千人のバス運転手が不足する見込みという。地方部に加え、都市部でも運転手不足から減便が相次ぐ。人材を補うため、自治体ではそれぞれに自動運転バスの実証を行っている。
茨城県常陸太田市では、マクニカグループの商社マクニカ(原一将社長、横浜市港北区)が提供する、特定環境下でレベル4に対応した自動運転電気バス(EVバス、仏ナビヤ社製)で、2台の車両を使った公道での定常運行を進めている。実証実験などを踏まえたもので、走行ルート・距離を拡大し、公共交通の利用促進へ、市民の「足」となる自動運転サービスを目指している。
同社は必要なデータ取得・セットアップ、技術的資料、関係各所の調整、運行体制の構築を提供している。車両の走行データを遠隔運行管理システムに連携させることで、走行情報をリアルタイムに離れた場所で確認できるようにした。住民向けには、バスのリアルタイムの位置情報や車内混雑情報、バス停・周辺店舗情報などを一元的に可視化したデジタルマップを提供する。
同県日立市でも、みちのりホールディングス傘下の茨城交通が取り組みを進めている。一般道から転用した専用道を活用するもので、いすゞ自動車の車両をベースにしたレベル4自動運転車両での営業運行だ。他にも長野県塩尻市や福井県永平寺町、東京都大田区(羽田イノベーションシティ)、北海道上士幌町など、都心部の先端施設から過疎地域まで、地域の特性に応じた車種や環境での取り組みが見られる。
運行しやすいエリアに自動運転バスを投入し、ルートが複雑で人による運転が必要な他エリアへ運転手を再配置するといった「運行管理の最適化」を図る動きも出始めている。通勤時間帯のルートを増強し、全体の最適配置を図る手段としても検討されている。
政府が「1万台」という目標を掲げる背景には、産業政策としての狙いもあるようだ。25年の大阪・関西万博で、中国に製造を委託したEVモーターズ・ジャパン(角英信社長、北九州市若松区)の車両で多くの不具合が見つかり、海外製造の課題などを示した。国産での自動運転技術の確立などが求められる中、台数目標の設定は、国内メーカーに対する「需要創出したいというメッセージの意味もある」(国交省担当者)という。

マクニカはレベル4自動運転バスの定常運行を行っている(写真は展示車両)
日刊自動車新聞5月28日掲載












