2026年4月23日
政府の「日本成長戦略」、自動車領域にも重点 EV用電池や空飛ぶクルマなどを項目に掲げる
政府が今夏に取りまとめる「日本成長戦略」では、17分野、61製品・技術に対し、優先的な支援を行っていく方針だ。自動車関連では、自動運転技術や「空飛ぶクルマ」といった次世代技術に加え、電気自動車(EV)の電池材料であるニッケルやコバルトの確保なども重点項目に掲げた。米国や中国といった他国に対して後れを取っている領域もあり、官民投資の足並みをそろえ、巻き返しを狙う。
17分野の成長に向けたロードマップ(行程表)の素案では、2030年以降に目指す日本企業の目標値などを示した。
自動運転分野では、30年代に自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を確保する。足元の日本メーカーの世界販売シェアと同水準を目指す方針だ。
自動車領域も戦略分野に位置づける(会議の様子、首相官邸)
人工知能(AI)が自動運転を制御するエンド・ツー・エンド(E2E)の自動運転システムの搭載を進めるほか、自家用車ではドライバーの関与をほぼ必要としない高度な運転支援「レベル2++(プラスプラス)」の普及を図る。レベル2++に関しては、26年中に優良車の認定制度を創設する予定で、国が技術の安全性を担保することで、ユーザーの購入を後押しする狙いだ。
E2Eの開発や自動運転に対応した車両の生産設備、通信基地局の整備などに重点的に投資をしていく。
空飛ぶクルマの市場は、40年に世界で約200兆円規模になると見込まれている。日本としては、欧米製の機体との差別化が可能な都市内運航など、短距離路線を中心に、40年頃に国内外で約1500億円の市場獲得を目指す方針だ。国内では27~28年頃に商用運航を開始する計画で、段階的に導入地域を広げていき、移動手段としての定着を図っていく。
自動車などにも搭載する半導体領域では、40年に国産半導体の売り上げ40兆円を目指す方針を掲げた。半導体企業向けでは、すでにラピダス(小池淳義社長兼CEO、東京都千代田区)やソニーセミコンダクタソリューションズ(指田慎二社長、神奈川県厚木市)などへの補助を行っているが、先端半導体の開発・製造能力の支援をさらに推し進めていく。
マテリアルの領域では、材料ごとに具体的な目標を示した。アルミニウムでは、30年代前半に年約90万トン以上の高品質かつ低炭素アルミ市場を国内外で確保するほか、アルミスクラップの使用率を30年までに40%まで引き上げ、自律性を高める。
電池材料にも使われるリチウムは30年に年約10万トンを確保し、併せて回収可能なリサイクル技術の開発、実装を加速する。ニッケルも年約9万トン、コバルトは年約2万トンを二次資源含めて獲得するとした。レアメタルの国内製造基盤の目標である年150ギガワット時の達成に向け、主要材料の安定した供給体制を構築する。
また、今後EVをはじめとする電動車の普及拡大を見込み、電池やモーターなどに使用する材料に関しても、戦略的な目標を示した。30年までに銅や亜鉛などのベースメタルの自給率を80%以上に引き上げるほか、30年時点の需要量に対して必要な資源量としてバッテリー用メタルで計38万トン、レアアースで計1.4万トンを確保する。
各分野とも具体的な投資額は今後、詰める計画だ。自動車領域では、投資効果をサプライチェーン(供給網)全体にどこまで波及させられるかが成長の鍵を握ることとなる。
日刊自動車新聞4月23日掲載













