2026年3月27日
4月から商用車にもAT限定免許、ドライバー不足解消の一手に 自動車メーカーなども対応進める
トラックやバスでオートマチックトランスミッション(AT)車の普及が進む状況やドライバー不足などを踏まえ、準中型・中型免許に4月から、AT限定免許が新設される。2027年には大型免許にも同様の枠組みが導入される予定。商用車分野の免許制度が大きく変わることになり、関連業界も商機とみて取り組みを進めている。
AT免許拡大で業界は商機を見込む
いすゞの9速ATM「アイシム」
アイシムを操作するドライバー
深刻化するドライバー不足。高齢化の進展に加え、特に物流業界では、時間外労働の上限規制強化、いわゆる「2024年問題」によって輸送能力の維持が一段と難しくなっている。
一方で、商用車でもAT車が増える中、運転操作が容易なAT免許を設けてトラックやバスの運転手を増やすよう、業界からも要望が出ていた。
AT限定免許の対象を広げる道路交通法施行規則改正に伴い、4月から新制度が開始される。警察庁の制度設計では、技能試験や技能教習、技能検定は原則としてAT車で行い、マニュアルトランスミッション(MT)免許のクラッチ・ギア操作に関わる項目のみをMT車で行うこととなっている。
■ハードル低く
商用車の運転は従来、MT車の操作技能が前提とされてきた。とりわけ大型トラックでは、発進時のクラッチ操作や坂道発進、ギア選択といった熟練を要する技術が求められ、若年層や異業種からの参入障壁となっていたともされる。AT限定免許の導入は、この構造的なハードルを下げることが期待される。
改正の背景には、商用車の技術進化もある。トラック分野では近年、ATや機械式自動変速機(AMT)普及が進み、複雑な操作を必要としない車両が増えている。
アクセルとブレーキのみで操作可能な車両は、ドライバーの身体的負担を軽減し、長時間運転時の疲労低減にも寄与するとされる。特に市街地配送や渋滞環境では、頻繁な発進停止が求められるため、AT化のメリットは大きい。加えて、変速操作の簡略化はヒューマンエラーの低減にもつながり、安全運行の観点からも評価されている。
バス分野でも、例えば立席乗客が多い路線バスでは、変速ショックの少なさは安全性にもつながる。
■業界も対応
関係業界もこうした動きに注目している。国内最大手のいすゞ自動車は「これまでのトレンドを加速させる契機」と捉え、販売拡大を目指す。同社は従来から、ATやAMTの需要増を見越して開発を進めてきたといい、ドライバーの負担軽減や運転しやすさにもこだわっていると説明。9段変速のAMT「アイシム」は小・中型のほとんどの車型で選択できるという。日野自動車も「今回の法改正により、より多くの方々がドライバーへの道を歩み始めやすくなる。誰もが活躍できる持続可能な物流現場の実現に貢献していく」とする。
米アリソン・トランスミッションは、トルクコンバーター式ATの実績などを踏まえ、日本でもサービス体制拡充などを検討している。また、教習所の関係者は「AT車導入の準備をしているところもあるようだ。需要が見込めそうとなれば、ATに対応し始めるのではないか」とみている。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞3月27日掲載














