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2026年3月26日

〈トップインタビュー2026〉トヨタユーゼック、北口武志社長 設備投資加速で出品拡大 小売りはオンライン商談に力

ここ数年、設備投資を加速しているトヨタユーゼック(千葉市美浜区)。中古車オークション(AA)事業では空白エリアにヤードを設けるなどし、車両の受け入れ態勢を強化。小売りではオンライン商談に特化した店舗が、実績を上げ始めている。さらなる成長に向け、どのような手を打っていくのか、北口武志社長に聞いた。

―設備投資を進めてきた背景は

「コロナ禍以降、中古車業界では品不足が続いている。とはいえ、AAでは出品台数をそろえておくことが大事であり、ここ数年はそれを意識してサテライト会場やヤードを全国各地に拡充した。オンライン商談ができる店舗も、小売りの可能性を広げる狙いがある」

―トヨタ・オート・オークション(TAA)の各会場の機能強化にも取り組む

「売買しやすい環境づくりが目的だ。例えば、九州会場では1月、車両の外装写真の提供枚数を従来の4枚から6枚に増やした。解像度も高めており、車両の状態が分かりやすくなっている。現在、4拠点に導入しているが、26年度中に複数の拠点で更新する予定だ」

―AAでは外部応札の割合が高まっている

「コロナ禍に急上昇し、5割を超えた。それ以降、じわじわと上がり続けており、今は6割弱という水準だ。これはAA参加者のニーズを反映したものであり、われわれもそれを前提とした施策を打っていく必要がある。AAのデジタル化を一段と加速し、TAAの魅力を高めていきたい」

―25年の出品台数は前年比10.8%増の99万202台だった

「出品台数と成約率が(暦年として)過去2番目に高かった。ここ数年の設備投資が奏功したとも思っている」

―足元の課題は

「ヤードやサテライト会場の増設でボリュームが高まった一方、新たな拠点が各地域に定着していくためには時間を要する。利用者のニーズも地域によってまちまちで、真に受け入れてもらうためには、少なくとも5年はかかるだろう。地域に寄り添った会場や拠点づくりに引き続き力を入れる」

―出品車の検査体制も拠点の拡大に合わせて進める必要がある

「検査員の育成は、時間とリソースをかけて丁寧にやっている。検査の精度はAAの信頼性に直結するからだ。育成プログラムも組んでいるし、入社後のフォローも手厚く行っている。出品台数が増加しても、全国の拠点で均質な検査品質を維持できるようにしていく」

―AA業界の見通しは

「中古車輸出が好調なことや、小売りの引き合いも強く、AAの需要は底堅いとみている。26年も前年並みで推移するのではないか。一方、物流の効率化やコンプライアンス(法令順守)の強化など、業界が解消すべき課題は多い。今後、電気自動車(EV)の出品増が見込まれ、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献も必要になるだろう。5年先、10年先を見据え、これらの課題に取り組んでいきたい」

―小売り事業の現状は

「22年にオンライン商談に特化した店舗を千葉県に立ち上げた。その後、埼玉県や大阪府にも広げたが、どの店舗も定着してきており、今後もオンライン商談の活用を進める。従来の大型店舗も、在庫の回転率向上に取り組んでおり、成果を出せている」

―モータスポーツ関連の取り組みは

「静岡県の『GRガレージ袋井』で、先代のトヨタ『86』をよみがえらせるサービスを提供している。中古車でレースに参加したい顧客を支援する仕組みも行っている。単に中古車を売るだけではなく、車好きを増やすとともに、そのサポートをすることがわれわれの役割でもある」

〈プロフィル〉きたぐち・たけし 名古屋大学法学部卒業。1986年トヨタ自動車入社。2010年ネッツ店営業本部販売計画室長、13年流通企画部主査、14年国内業務部グループ長、16年トヨタユーゼック非常勤取締役、18年から社長。1962年10月生まれ、63歳。愛知県出身。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 3月26日掲載