INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2026年3月19日

〈2026春闘〉自動車メーカー、初の全社満額回答 逆風下でも「人への投資」緩めず


自動車総連の金子会長

2026年の春季労使交渉(春闘)で自動車メーカーの回答が3月18日、出そろった。二輪車を含む自動車メーカー11社は、各労働組合の賃上げ要求に対して全社が満額回答、もしくは要求を超える額を回答した。自動車総連(金子晃浩会長)によると、全自動車メーカーがそろって満額回答したのは統計以来、初めてという。米国の追加関税や電気自動車(EV)需要の失速などによる業績悪化が顕在化する中、自動車メーカー各社は逆風下でも「人への投資」の手を緩めない姿勢を示した。

同日、都内で会見を開いた自動車総連の金子会長は「大変厳しい中でも組合の要求に沿った回答を獲得できたことを高く評価したい」と述べた。自動車総連が同日まとめた回答状況によると、カーブ維持分と改善分(ベースアップに相当)を合わせた平均回答額は、前年より863円多い1万9333円となり、1993年以降、最も高い水準となった。ベアの平均は1万3389円で、前年から681円増えた。賃上げ率は総額で5.5%、ベアで3.3%だった。

今春闘では、マツダと三菱自動車、ヤマハ発動機が2月25日、日産自動車が3月11日に満額回答を示していた。4社は18日の集中回答日を待たず結論を前倒し、前のめりな賃上げ姿勢を示した格好だ。

スズキは、組合要求を1500円上回る賃上げ総額2万500円を回答した。組合要求を超える賃上げ額を回答したのは3年連続だ。鈴木俊宏社長は「一人ひとりが能力を向上させることへの期待値であり、会社として『人への投資』に対する意志を示すものだ」とコメントした。

回答内容が注視されていたホンダも組合要求に満額回答した。労使交渉期間中の12日、最大6900億円の最終赤字となる業績見通しを公表したが、「ホンダの競争力の源泉である人への投資に覚悟を持って向き合う」(貝原典也副社長)ために2年ぶりの満額回答を決めた。

トヨタは組合平均の要求額を公表していないが、組合要求に対して満額回答した。満額回答は6年連続で、賃上げ総額は最大で2万1580円だった。

足元では中東情勢の悪化による業績影響も懸念される。こうした状況においても自動車メーカーを中心に賃上げ機運が継続している背景について、金子会長は「労使において難局を乗り切るために力を合わせていこうとする意思表示だ」と話す。

大手の回答が出そろい、今後は中堅・中小部品メーカーや販売会社の交渉が本格化するが、金子会長は「(大手メーカー労組が)しっかりと回答を得たことが、この後に続く組合にとっても『力水』になる」と期待を寄せる。

 

対象者 自動車業界
リンクサイト

日刊自動車新聞3月19日掲載