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2026年2月24日

整備事業者が人材確保へ一手 独自の育成プログラムや高卒採用強化も

自動車整備を支える人材不足が深刻になっている。こうした中でも、整備事業者は新卒、中途で整備士の確保に力を入れている。求職者に選ばれるだけではなく、貴重な人材を定着させるために、採用や入社後の育成などの受け入れ態勢を整える事業者も目立っている。

大型車整備などを手掛けるいづみ自動車(蛯名一二三社長、千葉県市原市)は、「すごシリーズ」と呼ぶ同社独自のプログラムを通じ、採用から育成、定着までの流れを底上げしている。このうち、「すごいスタッフ採用(すごサイ)」は、社内で公募した整備士を中心としたチームで、整備士養成校の学生に同社への応募を呼び掛けている。入社後は研修「すごいトレーニング(すごトレ)」を経て配属しているが、そこで先輩整備士との関係を深められることが、離職防止にもつながっているという。

ただ、採用活動に整備士が関わるため、その分、日常の業務には影響が出る。このため、事前に社内で、採用チームやすごサイの情報を共有。蛯名社長も「会社で一番大事なことをやっている」と訴え、周囲の理解を得ている。

栃木ホンダ販売(大塚徳次社長、栃木県小山市)は整備士養成校からの募集に加え、2016年から高卒者の採用を行っている。17年4月に入社した最初の高卒者は8人で、現在も5人が働き続けている。当時の整備部門の責任者が内定を出した生徒の自宅を訪問し、家族を含めたフォローに力を入れたことも一因とみられる。現在の責任者である辻和朗サービス部長は、「会社としての方向性は間違っていなかった」と振り返る。

25年7月には整備士試験の要件が緩和され、受験に必要な実務経験の期間が短縮されるなど、高卒者を整備士として育てやすくなった。辻部長は「働く本人にとってはいいことではないか」と話す。一方で、「もっとスピード感をもってやらないと(整備士の)資格はあっても技術力が伴わなくなる」とも指摘し、実務経験が短くなる分、今後は限られた時間で試験対策と技術の育成の両立に取り組む考えだ。

人材不足に悩むのは、自動車リサイクル事業者も例外ではない。この一つ、CRS埼玉(加藤一臣社長、埼玉県川越市)は、20年から新卒採用に本格的に力を入れている。新卒の新入社員には10カ月間の研修で、すべての部署の仕事を経験してもらう。営業であれば、使用済み自動車の買い取りの電話応対から、車両情報の確認、買い取り額の設定、車両引き上げの確認までを行う。研修終了時には発表会を開いて、一人ひとりが実績を報告した上で、正式な配属先を決めている。今年は、研修で感じた各部署の課題をテーマにしたという。同社や業務への理解を深めることで、仕事への意欲を高めている。

研修ですべての仕事を覚えてから配属(CRS埼玉提供)

整備事業者向けコンサルタントのビズピット(大阪市淀川区)の小野健一社長は、「就業規則とは別に職務規定が必要だ」としている。組織や自らの業務内容などを正しく理解しやすくなるものの、法律で義務付けられていないため、必要性を感じていない整備事業者も少なくないという。

ただ、職務規定をつくる上では「会社の現状を把握した上で、それぞれの仕事のレベルに応じた等級をつけ、経営戦略や給与面と連動させていくことが必要」とも指摘する。外国人に対しても「日本人とは区別せずに一つの規定に従ってもらうことが大事だ」としている。