ドライバーニューディールアソシエーション（D.N.A）は2月24日、東京・千代田区よみうりホールでトラックドライバー甲子園を開催、宮田運輸の取り組み「こどもミュージアムプロジェクト」がグランプリを受賞した。

同大会はトラックドライバーが輝ける場所の提供を目的に、2014年から開催、第5回目を迎えた今回のテーマは「新たな価値の創造」。高嶋民仁理事長は冒頭、「日本の物流は世界一のきめ細かさと高い品質がある一方で、従事するドライバーは日本人平均より1.6倍もの長時間労働をして、給料は90％しか得られない。我われ中小物流事業者の勇気と挑戦で、業界の健全な発展を築いていきたい」とあいさつした。

国土交通省自動車局の平嶋隆司貨物課長と全日本トラック協会青年部の山本明徹部会長の祝辞に続き、メインプログラムに移った。企業単位の取り組みを紹介するMVC（Most　Valuable　Company）ではダイセーエブリーニ24、マイシン、宮田運輸の3社が大スクリーンで上映される動画とともに、熱のこもったプレゼンテーションを行った。

会場投票の結果、圧倒的多数の支持を得てグランプリを受賞したのは宮田運輸だった。2013年、同社のトラックとスクーターが接触事故を起こした。宮田博文社長が病院に駆け付けたのは、被害者の男性が命を落とした直後だった。宮田氏が病室で被害者の父親に名刺を差し出した際、「どちらが悪いかわからない。しかし、たった今、命を落とした息子には小学校4年生の娘がいる。それだけはわかってほしい」と言われた言葉は、生涯忘れることはできないという。

トラックは社会に役立つ一方で、悲しみを生むこともある。その現実を変える手立てとして宮田社長は、ある工場に貼られていた子供たちが描いた標語「ヘルメットをかぶりましょう」をヒントに「こどもミュージアム」の取り組みを開始した。自社トラックのコンテナ背面にドライバーの子どもたちが描いたラッピング印刷を行い、自社他社隔てなく、交通安全を呼びかけるものだ。その反響は大きく、同業他社にも広がりを見せている。現在までラッピング車による事故は０件だという。

現在ミュージアムには55社が参画、ラッピングを施した車両は165台となった。「デジタルではなくアナログで心を伝える活動で、安全運転精神を届けていきたい」と、宮田氏は笑顔でインタビューに答えた。

模範的ドライバーを表彰するMDVには、新人部門に関根裕太さん（関根ロジスティック）、中堅部門に細川進さん（細川産業）、トラガール部門には川口かおりさん（ダイセーエブリー24）、ベテラン部門には中村清さん（沖縄西濃運輸）がそれぞれ選ばれた。また、今回から始めた「イケメントラックドライバーコンテスト」（DNA男子）には伊東竜士さんがグランプリを獲得した。

運輸新聞3月2日掲載

開催日	2018年2月24日
カテゴリー	キャンペーン・表彰・記念日
主催者	ドライバーニューディールアソシエーション（D.N.A）
開催地	よみうりホール（千代田区）
対象者	一般,自動車業界