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自動車産業インフォメーション

2026年1月20日

中国のレアアース輸出規制強化でサプライヤーに警戒感 現時点で影響は表面化していないが…

中国が軍民両用品の日本向けの輸出規制強化を1月6日に発表した。自動車生産に必要なレアアース(希土類)や半導体関連製品が含まれる可能性が高い。今回の件で直接的な影響はまだ表面化していない。ただ、中国からのレアアース調達については昨春から時間がかかるようになっている。自動車部品メーカーなどは警戒感を募らせている。

電池やモーターなどレアアースは自動車産業にも欠かせない(イメージ)

産業用などに使う希少なレアメタルのうち、特に貴重なものがレアアースで17種類ある。

自動車用途では、テルビウムやジスプロシウムが、ハイブリッド車を含む電動車用モーターに使用されるネオジム磁石の補助材料などに使われる。レアアースではないが、車載リチウムイオン電池には、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイトが使用されている。

AESCジャパンの松本昌一最高経営責任者(CEO)は「もし影響があるとすればリチウムなどの電極材料だろう」と話す。

あるサプライヤーのトップは「昨春以降、中国からのレアアース調達には用途申請に3カ月から半年を要するようになり、在庫を増やしにくくなっている」と明かす。別のサプライヤーも「審査に時間がかかっており、調達の難易度は上がっている」と話す。

各社ともそれぞれ一定量の在庫を確保してはいる。また「生産拠点の多くを海外に置いているため、必ずしも(規制がそのまま)直撃しない」というサプライヤーもあり、いまのところ冷静に構えている。

ただ、「長引けば自社はもちろん、自動車業界全体にも影響が及ぶ」との見方は共通している。ある関係者によると、もしレアアース類の輸入が全面的にストップした場合は、早ければ1か月半後に影響がでるという。

実際、昨年4月に中国が輸出規制を強化した際には、スズキが「スイフト」の生産の一時停止を余儀なくされた。同社は公表していないが、レアアース類が影響したとみられている。

サプライヤー各社は、中長期的な調達リスクの軽減に向けて、豪州やマレーシアなどの代替調達ルートの確立や、部品の希土類フリー化を急ぐ。

例えば、大同特殊鋼は重希土類を使用しないモーター用ネオジム磁石の生産増強を進めている。同社によると、昨春の中国による規制以降、問い合わせは増加傾向にあるという。ある部品メーカーは「レアアース使用量の少ない製品開発も進めている」と話す。総合商社の双日も昨秋、豪州からの重希土類の輸入を開始した。

しかし、課題は多い。あるサプライヤーの幹部は一般論と前置きしつつ「精錬などの加工を中国以外で本格展開するには時間とコストがかかり、中国依存を下げるのは容易ではない」と指摘する。

中国以外からの調達価格は割高で、電動化などで希土類の使用量が増えれば増えるほど、車両全体のコストに跳ね返る。サプライヤーと自動車メーカーが協調して、いかに実効力のある対策を共有できるかも重要になりそうだ。

赤澤亮正経済産業相は16日の閣議後の会見で、19日からスイスで開催のダボス会議で「各国閣僚と重要鉱物のサプライチェーン強靭化の連携などを議論したい」と語った。

日刊自動車新聞1月20日掲載