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自動車産業インフォメーション

2026年1月7日

自動車メーカートップの2026年展望は? 地政学的リスク高まる中、国際競争力をさらに引き上げ

2026年は米トランプ政権がベネズエラへの軍事攻撃に踏み切り、不穏な幕開けとなった。6日に都内で開催された自動車5団体の新春賀詞交歓会に参加した自動車メーカートップらは、世界情勢の不確実性に不安を抱きつつも、環境変化に柔軟に対応する考えを示す。米国の関税影響についても各社が対策を進めてきており、26年は取り組みの成果が実を結ぶと期待を寄せる。中長期的には人工知能(AI)などの技術革新によって、国内自動車産業のさらなる競争力強化を展望する。

1日に日本自動車工業会(自工会)会長に就任したトヨタ自動車の佐藤恒治社長は、26年の自動車産業のキーワードとして「国際競争力」を挙げた。地政学的リスクが高まる中で「自動車産業はこれまでグローバルスタンダードなものを世界的に展開するビジネスモデルだった。政治経済の状況に大きな変化が生まれる中で、日本の”勝ち筋”をどう見つけ出していくか」と述べ、業界が一丸となって競争力を引き上げていく必要性を強調した。

25年は米トランプ政権の追加関税が国内の自動車産業を揺るがした。9月に関税は引き下げられたものの、関税のある世界が「新常態」となった。日産自動車のイヴァン・エスピノーサ社長は「今年も昨年の状況が続き、環境は良くならない。地政学的情勢も厳しくなる」と警戒し、「できる限りリスクを最小限にしないといけない」と話す。ホンダの三部敏宏社長も「厳しい環境になると思うが、今年は底力を見せないと」とし、「グローバルで競争力のある商品をつくっていく。飛び道具はない」と力を込める。

米中摩擦をはじめとした中国のサプライチェーン(供給網)リスクにも直面する。オランダの中国系半導体メーカーであるネクスペリアの出荷停止で車両生産に影響が及んでいるホンダの三部社長は「グローバルサプライチェーンの考え方も今まで通りではいかない。その辺も考慮した新たな考え方が必要だ」と話す。

関税影響が及ぶ中でも、国内メーカーの米国販売は堅調に推移する。米国の販売比率が高く、関税影響が大きいスバルの大崎篤社長は「関税を打ち返す施策をつくったし、これから実行に移していけば先が見えるようになる。戦っていける材料は備わりつつある」と前向きだ。

ホンダの三部社長は、事業環境が大きく変化する中で国際競争力を高めるためには「フィジカルAIなどの新しい技術に早期に取り組まなければならない。今年は強い自動車産業を目指す最初の年になる」と話す。世界最大市場の中国では電動化や知能化技術でリードする現地メーカーの攻勢が強まり、日本勢は苦戦を強いられている。世界が目まぐるしく変化する中、今年は国内の自動車産業の行く末を左右する転換点となりそうだ。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 1月7日掲載