2025年12月16日
連載「JAMA 大学キャンパス出張授業2025」カワサキモータース、アメリカの大地を駆ける!~カワサキのオフロード四輪車が描くモビリティの未来~
カワサキモータースの川村直樹執行役員四輪・PWCディビジョン長は10月10日、神戸大学鶴甲第1キャンパス(神戸市灘区)で「アメリカの大地を駆ける! カワサキのオフロード四輪車が描くモビリティの未来」をテーマに講演した。学生ら約30人を前に、オフロード四輪車の世界市場で新たなモビリティの可能性を追求していく醍醐味を伝えた。
「電気仕掛けのオートバイを開発したかった」のが入社理由という川村執行役員
オフロード四輪の世界最大市場は広大な国土を持つ米国だ。無限に続く草原や、岩肌がむき出しな山道を疾走する力強さは、まさにアメリカンドリームの象徴と言える。
川村執行役員は、こうした米国でのオフロード四輪車のさらなる普及には「カワサキのパワーユニットの開発・生産技術が欠かせない」と強調。米国人が大切にする「力強さ」や「誇り」にふさわしい「リッジ」や「テリックス」シリーズといったアグレッシブなモデルの投入により、世界市場でナンバーワンの地位を獲得する決意を示した。
カワサキへの入社動機についての学生からの質問には、「電気仕掛けのオートバイを開発したかった」と答えた上で、電子制御による車両の開発が加速する実情も踏まえて「夢が実現してきた」と笑顔をみせた。「オフロード四輪車で先行する北米勢を追い越して『伝説』を作りたい」と、新たな夢を語って講演を締めくくった。
学生との主な質疑は次の通り。
―電子制御の車両が増える中で、その耐久性を高める取り組みは
「振動や熱をきっちりと確認することが大切だ。オフロード四輪車は、マイナス20度からプラス40度まで幅広い走行環境を想定している。電子制御デバイスを搭載している場合、特にこうした温度環境を考慮したチェックが不可欠だ」
―カワサキと言えば二輪車のイメージが強い。これからは四輪車も強化していくのか
「売上高全体に占める二輪車の比率は6割弱だが、こちらは成熟した市場だ。それと比べて、オフロード四輪車は北米以外の市場を開拓する余地が大きく、カワサキにとってもそれだけ伸びしろが大きい領域であると言える」
―カワサキの二輪車は、250cc以上の大型を強みとしていると思うが、こだわりがあるのか
「しっかりとした生産体制を維持するには、的確な投資によるリソースの確保が大切だ。より幅広い領域で製品を提供できればよいが、現実には難しい。そこで必要なのが『選択と集中』の考え方だ。保有するリソースを有効に活用するならば、やはり中・大型モデルを軸とした開発を進めることになる。それがカワサキのDNAでもあると思うからだ」
―大阪・関西万博では、未来の新感覚オフロードパーソナルモビリティを出展した。将来、新たな乗り物を開発する可能性もあるのか
「今後、どの領域へ打って出るか、いろいろと考えているところだ。その一例が、航空分野だ。航空用エンジンの開発が進めば、新たなビジネスに取り組める可能性が広がる。まだ明らかにはできないが、他にも構想は練っている」
日刊自動車新聞12月16日掲載












