2025年12月5日
軽の販売ランキング、変動激しく 変わるか「NーBOX」一強 競合も商品力向上
軽自動車の車名別販売ランキングの変動が激しくなっている。11月は、ホンダ「N―BOX(エヌボックス)」が再び首位になった。10月は17カ月ぶりにトップの座を明け渡しただけではなく、トップ3からも陥落するなど急ブレーキがかかった。ホンダ陣営はオプションをセットにした販促キャンペーンなどで需要を喚起し、巻き返した。もっとも前年同月の水準は割り込んでいる。競合車種も力をつける中、軽市場はこれまでのエヌボックス一強体制から、トレンドが大きく変わる可能性も出ている。
11月のエヌボックスの販売台数は、前年同月比10.2%減の1万6198台だった。10月(同24.0%減の1万2784)からは、台数や下げ幅ともに改善したが、「試乗車や展示車の入れ替えなどで台数を確保した」(ホンダ系ディーラー役員)との声もある。そもそも、10月も「中間期末の9月になんとか台数を出した反動で息切れした」(別のホンダ系販売会社)という見方もあり、決して追い風が吹いてはいないもようだ。
エヌボックスの動きは、ホンダの国内事業にも影響している。ホンダは当初、今年度の国内販売台数を約70万台と計算していた。しかし、4~11月は累計で39万843台(前年同期比10.9%減)。川坂英生執行職は「現実的に計画を達成するのは難しい状況だ」と語る。主力のエヌボックスが計画に達していないことが響いた格好だ。エヌボックスは全面改良から、すでに2年が経過し新型車効果が希薄になっている。加えて、仕様変更などに合わせて段階的に値上げしたことの影響が「ないとは言い切れない」(川坂執行職)という。
エヌボックス一強だった軽市場のランキングが変動し始めた背景には、競合車の商品力向上もある。スズキが23年11月に全面改良した「スペーシア」は、旧型と比べて販売台数を大きく上積みし、安定的に上位3位圏内で推移。直近では2位の座を守っている。
認証不正の問題で23~24年に低迷していたダイハツ工業は「タント」の販売が回復したほか、「ムーヴ」も新型車効果を追い風にしている。10月下旬に発売した日産の新型「ルークス」(同41.0%増の7741台)、三菱自の新型「デリカミニ」(「eK」含む、同32.0%増の6378台)も上々のスタートを切った。
軽市場には2026年、中国・比亜迪(BYD)もスーパーハイト型の電気自動車(EV)「ラッコ」を投入する。販売網の少なさなどから、同モデルが上位に食い込んでくる可能性は少ないとみられる。しかし、顧客の選択肢が増える中で、これまで硬直化していたランキングの顔ぶれが、変化していくことも考えられそうだ。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞12月5日掲載











