2025年12月4日
〈岐路に立つ自動車税制〉自民税調、税制改正議論ヤマ場へ 環境性能割など焦点
自民党の税制調査会(小野寺五典会長)は、車体課税の見直しを「マル政(政策的問題として検討する)」扱いにすることを3日までに決めた。税制改正大綱をまとめる今月中旬に向けて詰めの議論が続く。ただ、今年は連立を組む日本維新の会や、一部の野党にも目配りする必要がある。今後2年間の「自動車税環境性能割」の扱いをはじめ、業界や経済産業省が求める新保有税案がどこまで具体化するかも注目される。
議論の出発点となる25年度の与党税制大綱では「車体課税の見直し」「利用に応じた負担の適正化に向けた課税の枠組み」の2点について「26年度税制改正において結論を得る」とされ、税調でも議論が交わされている。
まず、取り扱いが注目されるのが(軽)自動車における環境性能割だ。燃費性能などに応じ、消費税とは別で車両取得価額の0~3%が課される。消費税率の引き上げに伴い「自動車取得税」を廃止する代わり19年秋から導入された。総務省は否定するが、自動車業界は「消費税との二重課税になる」と廃止を求めている。
特に今年は、トランプ関税で国内自動車業界が打撃を受けている状況を踏まえ、国内市場の活性化の観点から見直し機運が高まりつつある。自民総裁選の最中には、首相就任前の高市早苗氏が2年限定で凍結する意向を示した。税調の後藤茂之小委員長代理も「(高市)首相の発言も踏まえて検討していくことになる」と語る。恒久的な廃止にまで持ち込めるかが焦点だ。
保有時の新しい課税体系も議論されている。今は自動車重量税と、排気量別の(軽)自動車税種別割がかかるが、電気自動車(EV)は排気量の概念がないため、税負担が軽い。経産省が提示した新保有税案では、パワートレインにかかわらず1トン以上の車両は500キログラムごとに税率を上げ、30年度燃費基準の達成率と組み合わせて税額を算出する。EV、燃料電池車(FCV)は引き続き優遇する。経産省は28年度から新保有税を導入したい考えだ。
総務省などは、車重が重いEVの道路負荷などを考慮し、EVとFCVの課税基準を車重に統一する案を示している。総務省案が通れば、EVやFCVは実質増税となる。税調内では、EVなら価格を問わず一律で税負担を軽くする今の仕組みを疑問視する声も出ており、ここも論点になりそうだ。
また、経産省の新保有税案は自家用乗用車が対象で、トラック・バスや営業車は「別途検討」としている。自家用車より営業車の方が税負担が軽い「営自格差」も含め、新保有税案の行方が注目される。
| 対象者 | 自動車業界 |
|---|
日刊自動車新聞12月4日掲載












