片山さつき財務相は、いわゆる「走行距離課税」について「政府として具体的に検討していない」と参議院予算委員会で答弁した。
12日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長からの質問に答えた。片山財務相は「車は走るためにあり『走行距離に課税するのはあんまりだ』との声を本当に伺っている」とも語った。
走行距離課税は18年末の税制改正議論で浮上。世論や自動車業界の反発や課税技術の難しさなどもあり、税制改正大綱に盛り込まれることはなかったが、税制改正に強い影響力を持つ自民党の宮沢洋一参院議員は22年、本紙の取材に「燃料課税から走行距離課税に近い形に移行する可能性はあるだろう。40年代に向けGPS(全地球測位システム)搭載車が普及していくことが見込まれるため、それを活用した走行課税ができるのではないか」と語っていた。業界は「特に地方在住者や物流事業者など移動距離が多い方々の税負担が増え、電動車の普及にブレーキをかける。移動のたびに課税される税制は到底、理解を得られない」(日本自動車工業会)と、断固反対の立場だ。
片山財務相はさらに、9種類9兆円の自動車関連諸税について「経緯の積み重ねがある」としつつ「反省を込め、取れるところから取った部分もなくはない」と振り返り「自国の基幹産業があってなんぼだ。財政当局といっても、角を矯(た)めて牛を殺してはいけない」と続けた。
今後の税負担のあり方について、片山財務相は「環境負荷に応じて調整する時にどういう戦略をとるかは、我が国がどういう車を強みとし、どう勝ちにいくかという産業政策にリンクする。なかなか話をまとめるのが難しい」と心境を明かした。











