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2025年10月30日

JMS2025報道公開 今回は現実路線で「ジャパン“リアリティ”ショー」 市販控えたプロトタイプがずらり

 「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」が29日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で報道公開された。会場では1~2年後に売り出す新型車(プロトタイプ)の展示が目立った。電気自動車(EV)シフトの減速や中国勢の台頭、米中摩擦など、自動車産業の先行きは不透明感が漂う。中長期的な見通しが立てにくい中、各社は現実路線に回帰し、国内販売のてこ入れを狙う。一般公開は31日から。

 経営再建中の日産自動車は、26年度に発売予定の新型「エルグランド」を公開した。現行モデルが登場して15年超となるだけに、ユーザーや販売店からは長らく次期モデルの登場が期待されていた。発売は1年ほど先となるが、商品企画本部の中村智志チーフプロダクトスペシャリスト(企画責任者)はJMSの出展を通じ「お客さんに『待っていてください』というメッセージを届けたい」と語った。

 世界初公開となるホンダの小型SUV「ゼロアルファ」は、次世代EV「ゼロシリーズ」のエントリーモデルとして27年度に国内で発売する。同社はまた、AセグメントのEV「スーパーワン」も26年から日本を皮切りにアジアや英国に投入する計画だ。国内メーカーで唯一、〝脱エンジン〟を宣言したホンダ。量販を狙ったエントリーモデルはEV普及の試金石となる。

 スズキの「ビジョンe―スカイ」は、26年度に販売する軽乗用EVのコンセプトモデルだ。航続距離は270㌔㍍以上。日産「サクラ」(180㌔㍍)よりも長く、ホンダ「N―ONE e:(エヌワンイー)」(295㌔㍍)よりは短い〝ちょうど良い軽EV〟を目指す。

 比亜迪(BYD)の軽EVも含め、市場動向が注目される。

 新たに独立したブランドとして展開する「センチュリー」をはじめ、複数のコンセプトカーを投入したトヨタ自動車も、市販を来年に控えた「ランドクルーザー(ランクル)FJ」を初公開した。ラダーフレームを採用する本格オフロード車のランクルシリーズ中、最も小型で低価格になる見通し。ランクルシリーズはどの車種も人気だが、手ごろな価格のため、供給力が確保できれば人気になりそう。タイから輸入する。

 マツダもコンセプトモデルを2車種発表する一方で、26年の販売に先駆けて主力SUV「CX―5」の新型モデルを初公開した。最近の新型車は「CX―80」など上級車種が中心だっただけに、量販モデルに対する販売会社の期待は高い。日本勢の中で米関税影響が大きいマツダにとっても、国内販売のテコ入れは欠かせない。

 JMSを主催する日本自動車工業会モビリティショー委員会の貝原典也委員長(ホンダ副社長)は、出展の傾向について「これまでのEVの方向性、現実路線に合わせたかたちで比較的、数年後を見ている」と説明する。実際、各社の出展ブースで発売時期を明確にした車両が多い。未来志向のモビリティや移動サービスについては、主催者企画「東京フューチャーツアー2035」などで示す傾向にある。

26年度中に発売する日産「エルグランド」

ホンダ「ゼロアルファ」はゼロシリーズのエントリーモデル

人気になりそうなトヨタ「ランドクルーザーFJ」

〝ちょうど良いEV〟を自認するスズキ「ビジョンe―スカイ」

AセグEVのホンダ「スーパーワン」

販社から期待されるマツダ「CX―5」

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 10月30日掲載