2025年9月26日
政府、CEV補助金を見直しへ FCV引き下げてEVとの差を縮小 日米合意踏まえ
政府は「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」制度で、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の補助額差が縮まるよう、最大255万円のFCV向けの補助額を引き下げる検討に入った。充電設備への補助でも、米テスラが主導する「NACS」規格を補助対象に加える公算が大きい。いずれも日米関税交渉で米側が「非関税障壁」と指摘した事項だ。乗用車の輸入関税は春からの27.5%から15%に下がったが、トランプ米政権の出方は予想できず、政府としては高関税を蒸し返されないよう対応を急ぐ。
トランプ米大統領は今月5日(日本時間)、自動車と自動車部品に対する関税を15%に引き下げる大統領令に署名。この大統領令に基づき、16日(同)午後1時過ぎから関税が15%に下がった。これを受け、政府関係者は「(非関税障壁とされている)制度についても、可能な範囲で早急に手当てする必要がある」と話し、自動車業界との調整を急いでいる。
CEV補助金は、車両性能や整備体制、サイバーセキュリティー対策など複数の項目で企業と車両を評価し、個別に補助額を決めている。4月からは環境負荷が低い鋼材(グリーンスチール)の採用計画などにより、補助額を加算する仕組みも加わった。EVでは最大90万円、FCVでは最大255万円が補助されるが、米国は、EVとFCVの補助格差を「非関税障壁」と問題視する。
足元で、FCVが乗用車販売に占める割合は0.01%。燃料充填時間や航続距離、積載力などの観点から、大型商用車での普及が期待されているが、乗用FCVは性能が向上したEVとの差別化が難しいこともあり、販売は苦戦気味だ。関係者は「乗用車も諦めたわけではないが、日米合意も踏まえて(EVとの)バランスを考える」と語った。
EV急速充電器の補助対象も見直される公算が大きい。今は日本独自の「チャデモ規格」が補助対象で、NACSは対象外だ。しかし、マツダが27年以降に国内向けのEVでNACSを採用すると発表したほか、スイスのABBはNACSとチャデモの両規格に対応した急速充電器の販売を始めるなど、国内でもNACS規格が広がる兆しがある。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 9月26日掲載