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2025年9月22日

〈ひと〉国土交通省の事務次官に就任した 水嶋智さん

 
     水嶋 智さん

 旧運輸省時代、30代で航空局飛行場部新東京国際空港課整備推進調整官に就いた際は、成田空港に2本目の滑走路をつくるために日夜、奔走した。当時は反対運動も盛んで、断られても何度も現地に足を運んだ。いつしか地元農家の畑仕事を手伝うようになり、土いじりを通して会話も増えていった。「野菜を育てるためのアドバイスもたくさん頂いた。今では私の趣味の一つになっている」と当時を懐かしむ。

 自動車分野で目下の課題は、米国との関税交渉の中で要求された米国車の審査見直しだ。「スケジュールなど含め、関係省庁と協議していく段階だ。大前提として、日本人の安全を守ることが必要であり、それを損なわないよう議論していく」と話す。

 「2024年問題」では物流危機がささやかれたが「関係者の努力や新しい物流のあり方への理解が深まったことで、経済崩壊までは至らなかった」と振り返る。ただ、担い手不足などは今後、より深刻になっていく。「魅力ある職場づくりや待遇の改善、下請け構造の解消などに関して、社会全体に理解を求める必要がある」と話す。

 愛用するマグカップには、自身の造語である「人生はドラマ 仕事はロマン 男はみんなプロレスラー」という言葉が書かれている。「プロレスラーの役割は、いかに観客を楽しませられるか。そういう意味では、国民が納得できる議論を求められるわれわれの立場と似ている。政策論というリングに上がるには、知識を養うための勉強を欠かしてはいけない」。

大のプロレス好きで、休日は観戦に足を運ぶ。部下にも、全身で相手の技を受けるプロレスラーの姿を引き合いに「偉くなっても体を張れ。上が決断しないと、下が困る」と説く。ダイナミックなプロレスを愛する一方、手先の器用さが必要なプラモデルづくりも趣味だ。「細かい作業は集中できる」と、良い息抜きになっている。

〈プロフィル〉みずしま・さとる 東京大学法学部卒業後、1986年運輸省(現・国交省)入省。航空局監理部総務課補佐官、海上交通局外航課補佐官、総合政策局観光資源課長、観光庁総務課長、海事局長、鉄道局長、大臣官房長、審議官などを経て7月1日に事務次官に就任。1963年6月生まれ、62歳。京都府出身。

カテゴリー 人事
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月22日掲載